> "" スペース不足を解消したラクスルの『空中庭園』|オフィス通信

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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ 経営管理部 部長 西田真之介氏 ]

6月

21

2016

ラクスル株式会社
スペース不足を解消したラクスルの『空中庭園』
人員の増員でオフィスに課題
オープンスペースを求めて移転

 

「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」をビジョンに掲げ、新たな仕組みによる印刷、集客、配送サービスを提供するラクスル株式会社。

 

最大の特徴は、シェアリング・エコノミーと呼ばれるサービス形態である。シェアリング・エコノミーとは、配車サービスの『Uber』や民泊の『Airbnb』などに代表されるように、部屋や土地、車といった遊休資産をシェアすることを指し、近年はこの流れを踏まえた新サービスが数多く生み出されている。

 

同社は、印刷会社が持っている印刷機の非稼動時間を活用したネット印刷の仕組みを構築。ユーザーの印刷費用を抑え、なおかつ印刷会社の集客、業務効率を向上させるサービスを展開している。同時に、印刷に付随するデザイン制作や折込チラシ、ポスティングといった集客サービスもウェブ上で提供している。また、運送会社の非稼動時間を使った配送サービスもスタート。こうしたサービスによって、2009年に資本金200万円でスタートした同社は、2015年には資本金を58億円に増資し、シンガポールに子会社を設立するなど、事業規模を拡大している。

 

「ただ、事業拡大によって、オフィスの課題が大きくなっていきました」と語るのは、同社の経営管理部部長・西田真之介氏だ。「当社にはネットを活用してリアルをより良くしたい、便利にしたいという考えがあり、印刷サービスに加えて、昨年より『ハコベル』という運送サービスもスタートしました。こうして事業拡大するうちに、オフィス環境としては、増員によってミーティングスペースや会議室が不足するようになり、いつしか社員のコミュニケーションが希薄な印象を受けるようになっていました」

 

急速に従業員数が増加したことで、会議室が絶えず埋まっている状態となり、ひとりひとりの交流も行き届きづらくなったという。オフィス移転は自然な流れで検討されることになった。「もともと当社はマンションの1室で設立されたのですが、その後は2年に1度のペースで移転するスピード感で成長しており、今回の移転も、社員の増加をきっかけに検討することになりました」

 

当時、虎の門にオフィスを構えていた同社が移転先としてリストアップしたのは、渋谷・恵比寿エリアだったという。「当社は印刷業界ではありますが、IT企業という思いがあります。近年のIT企業は渋谷だけでなく恵比寿にも増えており、スタートアップの会社が集まっています。そうした企業とのコミュニケーションを深める意味で渋谷・恵比寿エリアが第一候補として挙がっており、その延長線上に現在の目黒駅も含まれていました」

 

渋谷区は3月末時点の空室率が2.47%と空室が少ないものの、希望としては100名の社員が1フロアに入れることが条件だった。「コミュニケーションという課題を解消するためにも、1フロアは必須条件でした。物件が限定されるため、物件探しは困難かと覚悟はしていましたが、実は早い段階で現在のこのオフィスに出会えていて、今思うと運が良かったと感じています」

 

目黒駅から徒歩3分の好立地に位置する『アイケイビル』は、1993年竣工で基準階面積836坪のオフィスビルである。エントランスからすぐの1階は、天井まで吹き抜けになっており、さながら植物園のような広大なスペースとなっている。「当初から8割方この物件に決めていました。利便性が良く、他に類を見ない構造だったことがその理由です。ただ、特殊な物件でしたから、他のビルと比較しないと決断できないと考え、いわゆる普通の構造のオフィスもリストアップしていました」

 

他の物件を見て回った結果的、最初の印象通り『アイケイビル』に決定した。「当社の代表取締役・松本恭攝やCFOの永見世央と『湾岸エリアの大きな倉庫をオフィスとして改装するのもありですね』と話していたことがあるのですが、目黒駅前でその話が実現できる可能性があると。そうした空間としての面白さも決め手になりました。当社はフラット思考という言葉を大事にしており、先入観や既成概念を持たずに考えることを大切にしています。このオフィスも、その考えに基づくものにできると考えたのです」

 

さまざまな人数に対応可能
活発な議論を生む仕掛け

 

天井高12メートルの大空間を活用したオフィスは、非常に開放的で、自由に使えるスペースが数多く設けられている。

 

「以前のオフィスではコミュニケーションに課題がありましたから、交流を活性化させるためのスペースを多く設けました。ちょっとしたミーティングをするスペースや立ちながら打ち合わせができるスペース、大人数で利用できるオープンスペースなどによって、コミュニケーションが取りやすくなったと社員からも好評です」

 

自席から少し移動するだけでオープンスペースがあるため、オフィスではあちこちに席を離れて打ち合わせをする姿が見られる。

 

執務エリアの奥にある階段を上がると、テーブルセットとひな壇の椅子があるオープンスペースがあり、ミーティングやランチ、セミナーなど自由に活用できるようになっている。さらに、ここから執務エリア全体を見下ろすことができるのも大きな特徴だ。

 

執務エリアは、一部がフリーアドレスで運用されており、今後、徐々に移行できるようにフリーアドレスの準備が整えられているという。

 

「もともと固定席でしたが、フリーアドレスも視野に入れて荷物を減らすよう社員に依頼しました。オープンスペースを活用してコミュニケーションを充実させてほしいという期待があり、一部ではフリーアドレスをスタートしています。一方で固定席のほうが円滑になる部署は同じエリアに集約させてありますから、オフィス全体で段階的にフリーアドレスに移行しても影響がないよう準備しています」

 

以前のオフィスで課題となっていた会議室不足についても、新オフィスでは11部屋を確保。スライディングウォールを開いて3つの会議室をつなげて利用することも可能だ。新サービス『ハコベル』の記者会見もこの会議室をつなげて開催したという。

 

旧オフィスの課題を解消して余りある新オフィス。テーマは『空中庭園』で、自然がコンセプトになっている。天井から日光が入り、オフィスにいながら自然を感じられることが最大の特徴だ。室内には植栽が置かれ、オフィス全体は木が基調になっている。

 

「当初から自然をコンセプトにすることだけは決まっていました。社員にとっては、自然を取り入れることで居心地の良い空間にして、気持ちの面でも生産性を高めてもらえるようにと考えました。また、ご来社いたただいたお客様には『こんなオフィス見たことがない!』という驚きを持ってもらえているようです。オフィス関連の取材も増え、採用面でもよい結果につながっていることを実感しています。オフィス空間自体をラクスルのひとつの魅力と感じてもらえるよう、これからも最大限に効果を高めていきたいと考えています」

 

移転と同時期に発表された『ハコベル』もサービス拡大を続けており、新オフィスを舞台に事業の拡大は現在も続いている。「『仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる』というビジョンを体現した新オフィスで、今後も世界をもっとよくするための事業を展開していきたいと考えています」

エントランスから入ると、中窓からオフィス内の様子が見えるようになっており、 天井高12メートルの大空間が目に飛び込んでくる

階段を上がった2階は広々としたオープンスペースとなっており、打ち合わせやリフレッシュ、ひな壇の椅子を使った大人数でのセミナーなどに活用されている。ランチタイムには自然と社員が集まる

 

ラクスル全景

2階からは全景を望むことができる。木箱のような囲いはオープンスペースで屋根には植栽がある

執務室にある半オープンスペースはそれぞれ趣が異なっている。奥にあるレンガは本物を使用。殺風景にならないよう、いたるところに工夫が凝らしてある

人数に応じて使い分けることができる広い会議室。3つの会議室をつなげて利用することも可能で、記者会見も社内で実施

 

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