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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ 代表取締役社長 兼 CEO 若山 陽一氏 ]

7月

01

2016

UTグループ株式会社
新たなワークスタイルへの挑戦でグループミッションを具現化
安定した雇用がイキイキをつくる
正社員雇用を軸に働き方を創造

 

「はたらく力で、イキイキをつくる。」をグループミッションに掲げ、労働者派遣・請負事業を展開しているUTグループ株式会社。安心して働ける環境づくりを目指し、同社が創業当時から打ち出しているのが正社員雇用である。派遣する労働者を登録ではなく正社員として雇用し、製造や設計開発、建築分野などの企業へ派遣していることが同社の大きな特徴である。同社キャリアアップ支援や労働環境の改善を推し進めながら、事業の拡大を続けている。

 

昨年7月、同社は中期経営計画において2017年3月期からの5ヵ年計画を発表。今後5年間で1万人の社員数を3万人に増やすことを目標とし、「日本全土に仕事をつくる」というビジョンを定めた。今回のオフィスリニューアルもその計画の一環だったという。同社代表取締役社長兼CEO・若山陽一氏はこう語る。

 

「5年で社員を2万人増やすということは、年間で4千人が増える計算になります。現在でも新しい社員が毎月のように入社しており、今後さらに増加するわけです。そんななかで『はたらく力で、イキイキをつくる。』というグループミッションを実現するために、開かれたオフィス環境をつくっていきたいと考えました。そこで、まずは一般的なオフィスを思い切ってフリーアドレスにしようと考えたことが、オフィスリニューアルのきっかけになりました」

 

背景には、同社が重視する『新たなことに挑み続ける志』『何事にも分け隔てなく公平である姿勢』『唯一無二の強い存在感』『全体のために動くチーム精神』という4つの価値観がある。

 

「当社は、高い志を持って挑戦し、公平に接し、チームワークをもって企業や個人の存在価値を高められる会社になることを目指して事業に取り組んでいます。今回のオフィスリニューアルにおいても、フリーアドレスを進める会社がまだ少ないと聞いておりましたから、そこに果敢に挑戦しようという意図もありました。また、フリーアドレスを取り入れることで、部門を超えたコミュニケーションが生まれて、さらにユニークな働き方を追求していくことにつながるのではないかという期待感もありました」

 

オフィスのリニューアルに向けたプロジェクトがスタートしたのが昨年5月で、新オフィスの完成が9月。わずか5ヵ月間でワークスタイルも含めたリニューアルが実施されたことになる。

 

プロジェクトチームで指揮を執った同社総務法務セクション所属の担当者は、短期間でプロジェクトが進んだ経緯をこう振り返る。

 

「当社の下半期に入った段階でスタートできればと期間を設定したのですが、フリーアドレスの仕組みは理解できても、どのようなオフィスで運用するのかイメージすることができませんでした。そこで大手オフィス家具メーカー様のオフィスを見学したり、導入事例のある企業様を視察したりと、約5ヵ月程度の期間のなかで、まず私たち自身が勉強しながら準備を進めました」

 

オフィスのリニューアルだけであれば、極論ではすべて施工会社任せにすることも可能だ。しかし、今回はワークスタイルを大きく変えるため、プロジェクトチームのメンバー自らがフリーアドレスの仕組みやノウハウを理解する必要があった。

 

現場を取りまとめるプロジェクトチームは、限られた時間のなかで運用方法を学びながら、リニューアルするオフィスのイメージを固めていったという。

 

大掛かりなリニューアルながら
メールのみで社内に伝達

フリーアドレスへのリニューアルは昨年9月の連休中に進められた。「8月に図面が完成した段階で、社内に初めてフリーアドレスの導入を告知しました。こういうオフィスで、フリーアドレスという働き方に変えますと。説明会を開いたり、口頭で説明することもなく、全社員にメールでの伝達にしました」(担当者)

 

フリーアドレスの導入にあたっては、運用するための社内説明会を実施して、段階的に浸透させていく方法もあるが、同社はあえてメールで告知するだけにとどめたという。「フリーアドレスは社員がオフィスを自由に活用できることが特徴だと考えています。説明会でプロジェクトチームの固定概念を伝えてしまうよりも、社員ひとりひとりが自ら働き方を考えてほしいという期待を込めて、あえて説明をしませんでした」

 

連休明けから新たな働き方をスタートさせた。社員の反応はどのようなものだったのか。「突然ワークスタイルが変わりますと伝えられて、不安もあるでしょうし、戸惑いもあったようです。しかし、実際に運用をスタートさせてからは、その日の業務や気分に応じて仕事をするデスクやエリアを選択できる自由がありますから、それぞれが働きやすい環境を選びながら仕事をしているように感じます。いつも同じ人と並んで働くだけでなく、これまでまったく接点のなかった人と働くことで、交流ができたり、刺激を受けることも多いようです」

 

リニューアル後に移転した子会社の社員もいるが、新しい職場環境によってコミュニケーションも活発に生まれており、予想以上にスムーズに溶け込んでいるという。「固定席がありませんから、セクショナリズムもありません。開かれたこのオフィスで働くことで、気がつけばグループ全員が仲間だという意識に変わっていることが実感できます」

 

フリーアドレスの導入にあたって、大きな課題となるのが、書類や荷物の整理である。固定席がなくなるため、デスクやワゴンに保管していた書類は、すべて個人用ロッカーに収納する必要がある。

 

「書類については、事前に不要なものを廃棄することを社内で徹底しました。デスクのワゴンも廃止して、PCを含めた荷物はすべて個人ロッカーにしか置けなくなるので、各自で工夫してほしいと伝えました。デスクのワゴンがあると、不要な書類でも溜め込んでしまう習慣がついてしまいがちですが、限られたスペースしかなければ、必要か不要かを仕分けする必要が出てきます。各自が書類や資料をスキャンしてデータ保存に切り替え、どうしても必要なものだけを倉庫で保管するようになりました。社員が自然と書類を仕分けするようになることは、フリーアドレスのメリットとして実感しています」

 

グループ社員含めてチームの結束
フリーアドレスの効果を実感

 

こうしたワークスタイルを含めたリニューアルを実施した新オフィスは、「自然」をコンセプトにつくられている。エントランスは古材でつくられた壁と観葉植物で自然が表現されており、待合スペースにはソファーとキャンプ用のチェアが置かれている。

 

エントランスから一歩入ると、ダウンライトやデザイナーズライトなどがセレクトされており、カフェのような趣が感じられるオフィスが広がっている。同社代表取締役社長兼CEO・若山氏は理由をこう語る。

 

「仕事とは合理性の追求ではあるのですが、無機質なデスクや一般的な蛍光灯ではオフィスが少し冷たい印象になってしまいます。できるだけ温かみのあるオフィスにしたいと考えて、照明を電球色にしたり、光を調整して明るさにこだわったりと、できるだけ自然環境に近い状況にしました」

 

オフィスには、通常のデスクだけでなく、カウンター席やファミレス型の席、テーブル席、ボックス席など、非常にバリエーションに富んだデスクが設けられている。選ぶデスクによって目線の高さも変われば、周囲の雰囲気も変わり、働く気分も変えられる。目的に応じた活用ができるよう、自習室のような集中スペースも設けられている。

 

大きな特徴は、オフィス全体の内側に会議室があり、外側に執務エリアが設けられていることだ。そのコンセプトについて若山氏はこう続ける。「当社のオフィスはドーナツ状態になっており、真ん中に会議室を集中させて、その周辺を社員のスペースとして歩ける空間にしてあります。散歩するように1周すれば、社内がすべて見渡せて、その間に発想が浮かんだり、他の社員とのコミュニケーションが生まれたり、そういう空間をつくりたいというコンセプトがありました」

 

フリーアドレスによって多くのコミュニケーションを生み、周回できるオフィスレイアウトにしたことでさらに活性化させようとする狙いがあったのである。

 

「フリーアドレスになったことで部署や役職に関係なく、その日のデスクを自分自身で決めて働く。すると、自分の隣に初めて接する人が座ってきて、部署や業務内容を聞いていくなかで他の人の仕事がわかってきたり、部門を超えたコミュニケーションが図れたり、社内交流が円滑に進むようになったことが、今回のリニューアルの最も大きな効果として挙げられます。当社のグループミッションは『はたらく力で、イキイキをつくる。』ですから、仕事を創出することはもちろん、社員全員がイキイキと働ける空間をつくることが今回のオフィスデザインによってなされたのではないかと思います。気持ちのいい職場で社員が働くことによって、今後より高い成長を実現させていきたいと考えています」(若山氏)

 

今回のリニューアルは、将来を見据えた一歩でもある。実は、同社が積極的に取り入れようとしているワークスタイルのひとつに「在宅勤務」がある。現在はフリーアドレスによってオフィス内のデスクを選択する働き方となったが、今後は働く地域まで選択できる働き方を追求していくのだという。単身赴任者が多い同社にとって、家族のもとで働ける環境をつくることも、グループミッションの実現には不可欠な要素であり、今後のテーマでもあるのだ。

 

社員に聞くと、コミュニケーションが活性化し、社内が明るい雰囲気になったという声が圧倒的に多いという。「イキイキ」をつくるための取り組みは、着実な成果を上げながら、日々進化を続けているようだ。

 

執務エリアはさまざまなタイプのデスクがあり、出社後は自由に場所を選んで仕事をすることができる

 

ファミレス型の席は稼働率が高く、個人での作業はもちろん、打ち合わせを行なう姿も見受けられる

 

社内を周回できる通路の外側に執務デスクが置かれているのがオフィスデザインの特徴。広々した空間に観葉植物が置かれ、明るい雰囲気になっている

 

右手にある部屋は部署ごとのロッカー室となっており、必要な書類や個人 の所有物を保管している

 

会議室の壁はホワイトボードとしても利用でき、来客用だけでなく、社内のミーティングでも活用されている

 

自動販売機の前にはカウンターテーブルがあり、休憩だけでなく打ち合わせにも活用できるスペースになっている

 

PICK UP!

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