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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ コニカミノルタ株式会社 ]
マーケティング統括部長 持田 啓介氏

12月

03

2013

コニカミノルタ株式会社 様
新しい価値創造のためのワークスタイルを実践する“舞台”。

2003年にコニカ株式会社とミノルタ株式会社が経営統合して10年。2013年4月1日には統合時以来の持ち株会社制から、経営体制を再編して「コニカミノルタ株式会社」へと社名変更している。同社は2012年8月、本社機能を東京駅前に竣工したばかりの「JPタワー」へ移転した。「丸の内2丁目舞台化オフィス」と銘打たれた新本社オフィスは、同社の目指す「新しい価値創造のためのワークスタイル」を実践するための場と位置づけられ、さまざまな取り組みが行われている。同社マーケティング統括部長を務める持田啓介氏に話を伺った。

モノからコトへ」事業変革の課題に取り組む

昨秋改修復元工事を完了した東京駅の特徴的な赤レンガ駅舎を窓から見下ろす、抜群のロケーション――。丸の内2丁目の新たなランドマークとなった超高層ビル「JPタワー」に同社コーポレート部門および情報機器部門が移転したのは、2012年8月17日であった。同社は以前から組織と事業のドラスティックな変革に取り組んでおり、本社移転もその一環であったという。   「10年前にコニカとミノルタが合併したときから、合併前の両社の創業事業でもあったカメラや写真感光材料などのフォトイメージング事業を終了させるなど、当社は強みを発揮できる事業分野へ経営資源の集中を進め、中核事業である情報機器事業の業容と規模の拡大に重点を置き、統合効果の最大化に取り組んできました。現在、情報機器事業は当社の売上構成比の70%以上を占めていますが、時代の変遷に伴ってハードウェアなどの「モノ」作りだけでなく、サービスなど新しい価値を「コト」としてお客様に提供するための事業変革が求められています。今回のオフィス移転にあたっては、10年間少しずつ人が増えてきたことによる手狭感の解消や耐震性・セキュリティ面の強化などの動機も無論ありました。しかし、情報機器事業部門が入るフロアについては、移転を機会に『モノからコトへ』という情報機器事業の変革課題に自らの新しい働き方実践を通して取り組むことをメインの目標としたのです」(持田氏) ただし、移転までに許された猶予は、あまりにも短期間であったと持田氏は言う。「JPタワー」への移転が正式に決定されたのは2012年2月――なんと、入居予定日である8月のお盆明けまで6ヶ月にも満たないスケジュールだったという。 「しかも、前半は新オフィスのコンセプトの策定やそれを具体化・具現化していくための計画に費やされましたから、じっさいに移転するメンバーが本格的な『引っ越し』のための実作業にかかったのは後半から。かなりタイトなスケジュールになりました。ただし、主役となる社員に当事者意識を持ってもらうために、入居部門によるワークショップの開催や、移転プロジェクトの進捗を伝えるための週刊ニュースレターの発行など、情報共有にも努めました」(」(持田氏) この最初の段階で策定された新オフィスのコンセプトが「丸の内2丁目舞台化オフィス」である。ここでいう「舞台」には「会社にとっての舞台」「社員にとっての舞台」「お客様にとっての舞台」という3つの視点があり、それぞれが同社の目指す事業変革を通じて新しい価値を創造するために不可欠な要素となっている。

「オルタナティブ・アドレス」を採用している執務デスクゾーン

「オルタナティブ・アドレス」を採用している執務デスクゾーン

執務デスクゾーンに隣接したミーティングスペース

執務デスクゾーンに隣接したミーティングスペース

各会議室にはテレビ会議用とプレゼン用にディスプレイを2面設置

各会議室にはテレビ会議用とプレゼン用にディスプレイを2面設置

会議室の予約システム。予約状況だけでなく使用状況も管理できる

会議室の予約システム。予約状況だけでなく使用状況も管理できる

フリー(自由)ではなくオルタナティブ(自己責任による選択)
個人用ロッカー。右手に並んだガラス張りの個室はテレビ会議ブース

個人用ロッカー。右手に並んだガラス張りの個室はテレビ会議ブース

個人用ロッカー。右手に並んだガラス張りの個室はテレビ会議ブース

個人用ロッカー。右手に並んだガラス張りの個室はテレビ会議ブース

「舞台化オフィス」というコンセプトは、「魅せるオフィス」「招くオフィス」という同社の狙いを端的に表現している。経営の透明性などを意味する“見える化”という概念が提唱されて久しいが、ただ「見せる」だけではなく「魅せる」――顧客はもちろん、社員一人ひとりに魅力を感じてもらうことで、企業はさらなる成長を遂げていく。社員にとっては自らが力いっぱいダイナミックで創造的に働くための舞台であり、顧客は観衆として劇場に足を運ぶだけでなく、舞台上のワークスタイルに共感し魅了されるうちに、新たなビジネス・コラボレーションの機会が生まれる。それが、同社が「舞台化」に込めた意図であり、社内の部署と部署、社内と社外のコラボレーションを誘発して新しいビジネスを生み出す母胎となることが期待されている。 「コラボレーションを生み出すものは何よりもコミュニケーションです。そこで、部署間のコミュニケーションを活性化させるために、新オフィスで採用したのが『オルタナティブ・アドレス』なのです」(持田氏) オルタナティブ・アドレスとは、要するに世間一般でいうところのフリーアドレスである。「社内の好きな場所に座って仕事をして良い」「固定席を定めず、仕事の内容や目的に合わせて場所を自由に選択できる」という意味で、フリーアドレスと呼んでも差し支えないはずだ。だが、敢えてオルタナティブという呼称を用いているのは、同社がこのシステムに込めたこだわりや思想を反映している。 「『オルタナティブ』という言葉は『二者択一』とか『もう一つの選択』といった意味ですが、当社では『自己の責任において選択する』という意味で使用しています」(持田氏) フリーアドレスの考え方は、じつは移転前の旧オフィス時代に狭隘化対策としてすでに導入されていた。だが、運用面においては必ずしも狙い通りの効果を発揮しておらず、移転前の活用状況は10数%に過ぎなかったという。大半の社員は、だいたい毎日決まった席で仕事をしていたようだ。それが、移転後に行われた社内アンケート調査では、旧来に比べて他部署とのコミュニケーションが活性化したという回答が80%を占めた。これは明らかに環境の変化がもたらした効果といえるだろう。 オルタナティブ・アドレスでは、チームリーダーや部門長による部下の管理がカギとなるが、同社ではユニファイドコミュニケーションツールとしてマイクロソフト社製の「Lync」を導入し、「誰が、いつ、どこで、何を」しているのかが把握できるようにしている。社員は朝出勤すると、その日の仕事場所を選び、まず「Lync」にその場所を入力してから業務を開始する。当初は戸惑いもあったが、今では便利で不可欠なツールとなっている。こういうちょっとした行動習慣を身につけることで、社員に仕事に対する責任感を持たせるのが同社の企業風土といえる。

自然にコミュニケーションが発生するさまざまな仕掛け
集中したいときは眺望の良いマルチモニタ席へ

集中したいときは眺望の良いマルチモニタ席へ

プロジェクター投影が可能な立ちミーティングスペース

プロジェクター投影が可能な立ちミーティングスペース

同社情報機器事業部門が入居する「丸の内2丁目舞台化オフィス」フロアの執務デスクゾーンは、「JPタワー」東側(東京駅側)の通称「ステーションウィング」、西側(皇居側)の「パレスウィング」とそれを結ぶ「センターコート」で展開されている。全エリアでオルタナティブ・アドレスが採用されており、4人掛けのデスクが角度を変えて点々と配置されている。デスクとデスクの間には十分なスペースがあるが、直進すると必ずどこかのデスクにぶつかるようになっている。 「まっすぐに進めないようにレイアウトしたのは、移動するときに自然にコミュニケーションが発生するようにという狙いです。また、4人掛けデスクにすることで、全員が角席のため、ふと立ち止まって話しかけやすいようになりました」(持田氏) デスクの足元には袖机やキャビネットの類は一切付随しておらず、デスク上には固定電話もない。社員は携帯電話とノートPCを持ち歩き、仕事が終わればすべて個人用ロッカーに収納して退社する。自分が使用した後のデスクはウェットティッシュで掃除するなど、「みんなのオフィスはみんなでキレイに使う」という企業文化が浸透しているという。 また、窓際のラインにはシチュエーションや目的に合わせてさまざまな種類のミーティングスペースが設けられている。長テーブルやベンチ、ソファなど、机や椅子の種類も多彩で、休憩しながら、あるいはマルチモニタに個人のノートPCを接続しながら、そこここでちょっとしたミーティングを行えるようになっているのである。特に人気があるのは「ファミレス席」で、カジュアルな雰囲気でミーティングできるため意見交換や情報共有がスムーズに行えるという。 オフィスの中心部は「コミュニケーションゾーン」と命名され、両端の空いた円型のカウンターで囲まれた内側に複合機(MFP)とシュレッダーが設置されている。プリント出力や紙文書の電子化のためには必ずここに来なければならないため、自然と人が集まる仕掛けになっている。円型カウンターの奥には、左右をホワイトボードの壁で囲い、奥がプロジェクタスクリーンで、手前はむき出しになったオープンな会議室がある。 「ここで行われている会議は基本的に飛び入り参加自由です。プリント出力のついでに会議室を覗いて、そのまま会議に参加してしまうメンバーも見かけます」(持田氏)

地道な努力と施策によりペーパーストックレスを実現

このように多くの仕掛けが導入された「丸の内2丁目舞台化オフィス」だが、一つひとつを見ていくと、決して見る者を驚かせるような“大仕掛け”はないということに気づく。もちろん、機能は最先端であり、デザインも洗練されているが、「え? オフィスにこんなモノが!?」と呆気にとられるような物は一つもなく、きわめてオーソドックスな、いわゆるオフィスらしいオフィスになっている。 「アッと驚くような突飛なデザインのオフィス、といったものも悪くはありませんが、私たちの求めるオフィスとは少し方向性が違うようです。見た目は地味でもいいので、『知と知を合わせて新たな知を創る』オフィス、活き活きとクロスファンクショナルなコミュニケーションやコラボレーションが絶えず行われているオフィスを目指しました」(持田氏)地味で、地道な努力の果てにこそ、同社の目指す変革がある、ということだろうか。 たとえば、「丸の内2丁目舞台化オフィス」には340名の社員が勤務しているが、オフィス内に設置された複合機はコミュニケーションゾーンの2台を含め計6台のみである。社員のほとんどが内勤者で、常時オフィスにいるにも関わらず――しかも、複合機は同社の主力商品であるにも関わらず――この台数の少なさは意外とも思える。 「移転前後でもっとも変わったのは社員各自の文書ストック量です。旧オフィスでは一人当たり1fm(ファイルメーター。紙を積み上げた高さを示す単位)近かったのが、移転後は0.3fm程度まで減少しています。仕事柄、複合機の便利な機能をフル活用して文書をプリントするのは構いませんが、使い終わったら電子データ化するなり破棄するなりして、できるだけ溜め込まないようにしているのです。プリント出力には社員証の認証が必要で、ログも管理していますから『誰が、何を、どれだけ』出力したかはすべて記録されており、紙のムダづかいに対する社員の意識を高めています」(持田氏) これらの効果が評価され、「舞台化オフィス」は2013年度の「日経ニューオフィス賞 情報賞」を受賞するなど、ファシリティマネジメントの専門家から高い評価を得ている。 「『舞台化オフィス』には、実務的な効果はもちろんですが、当社のブランディングという効果も期待されています。2013年2月にはネット上で動画配信している当社のショートムービー『コニカミノルタマンⅢ』、2013年9月には当社の地上波テレビCM『Idea Place篇』と、いずれも『舞台化オフィス』でロケを行った映像作品が放映されています。今後もより多くのお客様に当社への関心を持っていただけるよう、メディア露出の機会を増やしていこうと考えています」(持田氏)

「コミュニケーションゾーン」手前に置かれた長テーブルとベンチ

「コミュニケーションゾーン」手前に置かれた長テーブルとベンチ

カジュアルなファミレス席は使い勝手が良いため社員の人気が高い

カジュアルなファミレス席は使い勝手が良いため社員の人気が高い

PICK UP!

セミナースペース
舞台への入口となるbizhub SQUARE イベント開催やプレゼンにも使用される
執務デスクゾーン
「オルタナティブ・アドレス」を採用している執務デスクゾーン
ミーティングスペース
執務デスクゾーンに隣接したミーティングスペース
ミーティングスペース
プロジェクター投影が可能な立ちミーティングスペース
フリースペース
「コミュニケーションゾーン」手前に置かれた長テーブルとベンチ
フリースペース
カジュアルなファミレス席は使い勝手が良いため社員の人気が高い
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