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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ 株式会社セールスフォース・ドットコム ]
リアルエステート&ワークプレイスサービスディレクター 八廣 真里氏

1月

17

2014

株式会社セールスフォース・ドットコム 様
世界に展開する旗艦オフィスとしてワークプレイスの未来像を提案。

世界シェアトップ* のCRMプラットフォームを提供する株式会社セールスフォース・ドットコム。サンフランシスコに本社を置く米国セールスフォース・ドットコムの日本法人として2000年4月に設立された同社は、日本市場において右肩上がりの成長を続けてきたが、2013年7月、本社を港区六本木の「六本木ヒルズ森タワー」から千代田区丸の内の「JPタワー」へ移転した。新本社オフィスの構築に携わった同社リアルエステート&ワークプレイスサービス ディレクター・八廣 真里氏に話を伺った。
*2012年のCRMソフトウェア世界市場におけるシェア1位(Gartnerが2013年4月に発表したレポート「Market Share Analysis: Customer Relationship Management Software, Worldwide, 2012」より)

 

スタンダードを採用しつつ“匠の技”で日本流に表現

東京駅前の新たなランドマークとして丸の内2丁目に建設された超高層ビル「JPタワー」には、竣工以来、先進的なビジネスモデルを展開する企業が多数入居しているが、2013年7月より同社が新たなビッグネームとしてその一員に加わった。同社がそれまで入居していた「六本木ヒルズ森タワー」もまた、六本木というエリアを代表するランドマークであったが、今回の丸の内への移転は、同社のさらなる成長と進化を物語っている。

「やはり、丸の内は東京の中心にあるということで、当社の顧客企業も近隣に数多く集積しております。また、海外からお見えになるお客様にとっても、交通の利便性が高いというメリットがあります。歴史ある旧東京中央郵便局の跡地という『JPタワー』の立地は、世界26ヶ所に展開しているセールスフォース・ドットコムのオフィスの中で、どの拠点よりも優れたビジネスチャンスがあると考えており、日本での事業拡大に向けた会社のコミットメントの象徴でもあると認識しております」(八廣氏)

現代のビジネスは、ただ顧客に商品を売ってそれで終わりではない。アフターフォローはもちろん、さまざまなソリューションを展開しCS向上を目指していくには、これまで以上に顧客により近い場所にいることが大切だと八廣氏は言う。

 

 

 

「The CBC」と呼ばれるVIPゾーンの一角。イベント時の拡張仕様 (写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「The CBC」と呼ばれるVIPゾーンの一角。イベント時の拡張仕様
(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「この東京オフィスは、セールスフォース・ドットコムのアジアパシフィックにおけるフラッグシップ(旗艦)として設計されています。ここには当社とお付き合いいただいている多くのお客様、とりわけさまざまなVIPの方々がお見えになります。こうした方々をお迎えするために、他のどのオフィスよりもハイスペックなオフィスに仕上げています」

同社の東京オフィスは外資系設計事務所であるGensler社にデザインを発注している。Gensler社は世界各国にあるセールスフォース・ドットコムのオフィスを手がけており、基本的なデザイン自体は万国共通のスタンダードが採用されている。にもかかわらず――東京オフィスは他国のどのオフィスよりもデザイン性にすぐれていると八廣氏は断言する。

 

同じく「The CBC」の一室。「奈良」と命名されたVIP接客スペース (写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

同じく「The CBC」の一室。「奈良」と命名されたVIP接客スペース
(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「たとえば、壁や天井やカーペットの色などは基本的にどこへいっても同じカラーリングです。しかし、そこに日本の“匠の技”が加えられることで、同じ色のはずなのに見た目の印象がまったく違って感じられます。私も職務柄、世界中のいろいろな国のオフィスを拝見してきましたが、これだけきれいに仕上がっているところは、まず他にはないと思います」(八廣氏)

コンセプトは共通であり、統一されたスタンダードを採用しているが、東京オフィスはそれを日本流に噛み砕き、「新たなセールスフォース・ドットコムらしさ」をつくりあげているという。そこに日本の技術水準の高さ、“匠の技”が活かされているのだと八廣氏は感じているようだ。

 

新しいビジネスを体感させ、最高のおもてなしで歓迎する
「The CBC」中央のデモエリア。三面の巨大なモニターと照明が特徴(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「The CBC」中央のデモエリア。三面の巨大なモニターと照明が特徴(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

東京オフィスは同社の提供する新しいクラウドビジネスを視覚的・建築的に体現できる空間として構成されている。それは、たんなる見た目のインパクトや小ぎれいさ、贅沢さといったレベルではなく、「テクノロジーの進化がもたらした新しい働き方、新しいオフィスに対する考え方」を理屈ではなく肌で感じてもらおうという設計思想である。

「現代は、テクノロジーによって働き方がリアルに変わってきている時代であると私たちは認識しています。私たちセールスフォース・ドットコムがリードしていく新しいビジネスの形を、オフィスの形で再現したのがこの東京オフィスということになります。具体的には、空間を5つの機能的ゾーンに設定し、それぞれの空間には当社を訪れる皆様を『魅了』したり『活気』づけたり『刺激』したり『リンク』したりする仕掛けが組み込まれています」(八廣氏)

ここでいう5つのゾーンには、それぞれ「The Arrival」「The CBC(The Customer Briefing Center)」「The Buzz」「The Toolbox」「The Shop」と命名されており、ソーシャルネットワーキングを現実空間で実体験できるように工夫されているという。

まず、同社の総合受付のある12階のエレベーターホールから直結している「The Arrival」。「到着」という言葉の意味する通り、ここは来客を迎えるためのエントランスゾーンになっている。とはいえ、当たり前のオフィスのエントランスとは一味も二味も違う。エレベーターホールに降り立った瞬間から、来訪者に対する同社のアプローチは始まっている。

「『The Arrival』では、あらゆるところにセールスフォース・ドットコムの要素を宝石のようにちりばめています。ロビーの中央には米国本社で用いられている深みのある黄色の絨毯、天井には『ロングボード』と呼んでいる色鮮やかなクロスが躍動感あふれるハワイの波模様とともに目に飛び込んできます。さらに、レセプションではオリジナルの香りでお迎えするなど、お客様の五感を大いに揺さぶるように構成されています」(八廣氏)

特に注目してほしいのがロングボードだと八廣氏は言を強める。これは世界各国でそれぞれのお国柄に合わせて変えている部分であり、東京オフィスのそれは、オーキッドを思わせるfuchsiaピンクと濃い紫、ゴールドの色合いとパターンは日本の伝統的な織物の柄を連想させることから、特別に日本のセールスフォース・ドットコムのためだけに選ばれたものだという。そして、ロングボードの模様を無意識に目で追ううちに、来訪者は自然にレセプションの正面に立つような仕掛けになっている。レセプションには、顧客の絶対的な信頼を得るためのシンボルとして、セールスフォース・ドットコムのクラウド(雲)と空がデザインされたロゴを配置し、その手前にはロゴをモチーフにした制服を纏ったレセプショニストが立ち、満面の笑顔で来訪者を迎えるようになっている。この一連の演出を、同社は「セールスフォース・エクスペリエンス(おもてなし)」と命名している。

 

来訪者を迎える仕掛けと社員が働きやすい仕掛け
専門のマッサージ師が常駐するマッサージ室もまもなく開設される予定(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

専門のマッサージ師が常駐するマッサージ室もまもなく開設される予定(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

レセプションコーナーである「The Arrival」を抜けると、次に来訪者を待ち受けているのは「The CBC(The Customer Briefing Center)」と呼ばれる空間だ。ここは、同社にとって特に重要度の高い賓客を迎えるためのVIPゾーンとなっている。

「『The CBC』では重要な商談をスムーズに進められるように、窓からの景観も含めたす

フロアごとに設置された「The Shop」は 社員のためのくつろぎの空間(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

フロアごとに設置された「The Shop」は
社員のためのくつろぎの空間(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

べての調度に贅を凝らしたこだわりの空間になっています。壁には匠に依頼した木製キャビネットを設置し、床にはオリジナルの絨毯を敷き詰め、高級感あふれる空間を演出しています」(八廣氏)「The CBC」は全部で9つの部屋に分割されているが、窓の向きはほとんどの部屋から東京駅のホームを見下ろす位置にあり、新幹線「のぞみ」が発着するようすを一望できる。

また、東京オフィスならではのこだわりとして、各部屋には日本という立地に因んで「奈良」「飛鳥」「京都」など純和風の雅なネーミングが冠されている。とりわけ、日本史最古の都である「飛鳥」と命名された一室は日本独特の応接間をコンセプトとし、ハワイアンコアウッドのローテーブルにソファという調度でexecutiveにもっともふさわしい新しい商談方法を提案している。「また、『The CBC』の中央には巨大モニターでSNS上の情報をリアルタイムで表示するソーシャルメディア・コマンドセンター(SMCC)やAPP Exchangeというデモエリアを設け、クライアントに商品のデモンストレーションや各種ウェブメディア上での当社のプレゼンスなどをご紹介できるようになっています」(八廣氏)

ここまでが外来者のために用意されたエリアであり、以下「The Buzz」「The Toolbox」「The Shop」は同社の社員が日常利用するためのエリアとなっている。言うまでもなく、ここにも同社独自のさまざまな工夫や仕掛けが随所に施されており、同社の提案する「新しい働き方」のショールームとしての機能も持っているという。

 

執務エリアである「The Buzz」は役員ゾーンと一般社員ゾーンに分かれているが、いずれも同社の誇る最高のテクノロジーが惜しげもなく導入されており、両者の違いはひと言でいえば「壁」の有無に尽きる。役員ゾーンはセールスフォース・ドットコムの創業者であるマーク・ベニオフ氏も利用するという「ゲスト役員室」をはじめとして、窓に面した一角を壁で囲んだ個室が並び、一般社員ゾーンは間仕切りのないオープンオフィスとなっている。

 

 

社員のストレス要因をなくし、自由に自分らしく働ける空間

「『The Buzz』の一般社員ゾーンは、12階の床面積の約半分と、13階の大部分の面積を占めます。営業をはじめとするオフィスの出入りの多い社員を擁する部署にはフリーアドレスの『ホテリング』システムを採用し、オフィス全体の稼動率の向上を図っています」(八廣氏)

一般社員ゾーンの中でも特徴的なのが、間仕切りを廃したエリア内の要所要所に配置された「The Toolbox」と命名された間仕切りで囲まれたスペースだ。ここにはプリンタ複合機や文房具など、社員が日常的に使用するビジネスツールが集約されており、仕事をするなかでごく自然に社員同士のコミュニケーションが生まれるマグネットスペースとしての機能もあるという。

「社員一人ひとりがそれぞれ自分で働き方を工夫し、そのために必要なすべてがワークプレイス内に用意されていることで、社員たちはストレスを感じることなく自由に自分らしく働ける空間となっています。そうした空間をつくりだすことが『The Buzz』の隠れた重要なコンセプトでもあります」(八廣氏)

この「社員がストレスなく働ける空間」の創造は、「The Buzz」内に設置された2フロア合計で24もの室数を確保したミーティングルームや、本来の用途である電話やTV会議だけでなく少人数のミーティングや作業にも利用できる「Phoneブース」、さらには次に述べる「The Shop」とその延長線上にあるという「ウェルネスルーム」などにも共通する、同社らしいコンセプトとなっている。

 

「The Buzz」の一般社員ゾーン。奥の間仕切りに囲まれたスペースが「The Toolbox」(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「The Buzz」の一般社員ゾーン。奥の間仕切りに囲まれたスペースが「The Toolbox」(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「The Buzz」内には12・13階合計で24ものミーティングルームが用意されている(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「The Buzz」内には12・13階合計で24ものミーティングルームが用意されている(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

 

「『The Shop』は、出勤してきた社員が最初に通過する空間です。世間によくあるリフレッシュスペースはオフィス内の奥まった場所に設置されることが多いのですが、『The Shop』は毎日何度も通過するため、社員の意識の切り替えにも役立ちます。家具や床に電源を設置しているため、ここにノートパソコンを持ち込んで長時間仕事をすることもできますし、社員同士のコミュニケーションを通じて新しいアイデアが生まれるコラボレーションの場としての役割も期待しています」(八廣氏)

ちなみに、「The Shop」という名称にもかかわらず、ここに設置されているドリンクやスナック類はすべて無料であり、新聞や雑誌なども含めて社員のリクエストに応じて提供されているという。さらに、同社の社会貢献活動の一環として「Salesforce.com Foundation」と名づけられた組織があり、「The Shop」内にはその活動や成果を写真等で発信する展示スペースも用意されている。

「このほか、自社製品で社内専用のtwitterのようなツールを利用して、会社に対する要望や個人の思い,新しいアイデアなどをつぶやくことができる仕組みも導入しています。全社員向けにも、特定の個人、たとえば代表のマーク・ベニオフ宛てのメッセージをダイレクトに発信することも可能です。こうしたツールも含めて、風通しの良い、社員にストレスを感じさせないワークプレイスをつくり上げているのです」(八廣氏)

The Buzz」の窓際に面したゾーンには管理職の個席が配置されている(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

The Buzz」の窓際に面したゾーンには管理職の個席が配置されている(写真クレジット:Nacasa & Partners Inc.)

「Phoneブース」は少人数のミーティングやTV会議などにも利用される

「Phoneブース」は少人数のミーティングやTV会議などにも利用される

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