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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ 株式会社アドウェイズ ]
開発グループ R&Dユニット クリエイティブディレクター 本多 良行氏

7月

11

2014

株式会社アドウェイズ 様
「金儲けより人儲け」の経営理念のもと、「義理と人情」のオフィスづくり。

国内最大級のアフィリエイトサービス「JANet」「Smart-C」の運営をはじめ、スマートフォン向け広告配信サービス「AppDriver」、全世界対応のスマートフォンアプリ向け効果測定システム「PartyTrack」など、アプリ/コンテンツの企画・開発・運営にわたる多彩な事業を展開する株式会社アドウェイズ。アジア・アメリカなど世界11ヶ国に展開する同社は、2014年5月7日、8年間入居していた「新宿オークタワー」から「住友不動産新宿グランドタワー」へ本社を移転した。同社開発グループ R&Dユニット クリエイティブディレクター・本多良行氏に話を伺った。

 

全社員が1フロアで働ける移転先を新宿周辺で探す

東京メトロ丸の内線西新宿駅1番出口を出て青梅街道を成子坂下方向へ進むと、前方右手にそびえているのが、地上40階建ての超高層ビル「住友不動産新宿グランドタワー」だ。2011年12月竣工と築年数も新しく、優れた建物設備と耐震性能を有し、災害時には地域の防災拠点となる広場や大型多目的ホールなども整備されている。

2000年8月に創業したアドウェイズエージェンシーを母胎として、翌2001年2月に大阪で設立された株式会社アドウェイズは、その翌年には台東区に東京オフィスを開設、さらに2年後には本社機能ごと東京へ移転し、2005年5月からは、青梅街道を挟んで「新宿グランドタワー」のはす向かいに立地する「新宿オークタワー」に入居していたという。

当時からいる社員たちは、目と鼻の先で進行中だった同ビルの新築工事のようすをしばしば目撃していたはずだが、日に日に完成に近づいていくそのビルが、やがて自分たちの本社移転先になろうとは夢にも思わなかったことだろう。

「今回の移転計画は、以前のオフィスが増員のために手狭になってきたことからスタートしました。それまでは増員があるたびに必要に応じて増床をくり返してきましたが、それも限界に達し、移転直前の頃にはかなりギュウギュウ詰めになっていました。また、増床をくり返した結果、社員が複数のフロアに分散して働くことになり、そうした物理的な要因による“風通しの悪さ”のようなものが感じられるようになっていました。そこで、現在400名弱いる全社員が同じフロアで働くことのできる物件を探したところ、新宿周辺で1フロア800坪を確保できるのはこのビルだけだったのです」(本多氏)

結果的に、移転先がこれほど近いビルになったのは偶然ということらしいが、もともと新宿から離れるつもりはなかったのだと本多氏は言う。渋谷、あるいは六本木など、ほかにIT関連企業の集積地となっている街もあるが、同社の場合、新宿という立地にこだわる理由があったのである。

「西新宿という立地にこだわったのは、東京メトロ・都営地下鉄に加え、一大ターミナル駅である新宿駅が利用可能という交通アクセスの利便性が理由のひとつです。当社はグローバルに事業を展開し、幅広い分野でサービスを提供していますから、営業効率の良い拠点が求められます。それともうひとつ、以前のオフィスは8年間動かなかったため、その間に、多くの社員が通勤に便利な新宿近辺に住むようになっています。こうした社員たちにとって、あまり遠くへ移転することは望ましくないだろうという代表・岡村の判断もありました」(本多氏)

社員からの人気も高い掘り炬燵の会議室。足元まである窓からの眺望は絶景だ

社員からの人気も高い掘り炬燵の会議室。足元まである窓からの眺望は絶景だ

会議室のホワイトボードにはカスの出ないマーカーを採用

会議室のホワイトボードにはカスの出ないマーカーを採用

 

「和」をテーマとしつつ普通ではない発想のオフィス
休憩スペースの西側。壁際に自動販売機や喫煙所が設置されている

休憩スペースの西側。壁際に自動販売機や喫煙所が設置されている

新本社オフィスは「和」をテーマとし、特に「剛健」「柔軟」「情愛」の3つをキーワードとして、イメージデザインがつくられた。この「和」というテーマには、「グローバルカンパニー」への歩みを進める同社にとっての出発点である日本を大切にする、という意図が込められているという。同社がこれから挑んでいく「世界」や「時代」は常に変化するものである。めまぐるしい変化の中で、自分たちの「心」や「魂」を見失うことのないように、自分たちの原点である「日本=和」の精神をデザインのモチーフとして形にしたということだろう。

「ただ、『和』をテーマにするといっても、“普通ではおもしろくない”というのが当社の代表である岡村の発想です。新本社オフィスにはさまざまな『和』がデザインとして採り入れられていますが、どれもこれも平凡な発想の枠内には収まらないものになっていると思います」(本多氏)

本多氏の言うところの“普通ではない”発想とは、具体的にどのようなものだろうか。初めて同社を訪ねる来訪者は、38階でエレベーターを降りると、壁面のロゴを横目に見ながらフロア南端のエントランスへ向かうことになる。そして、エントランスに一歩足を踏み入れた瞬間――思わず「あッ!」と驚くような光景がそこに広がっているのだ。

エントランス正面の壁の前に設置された透明ガラスの全面に、葛飾北斎のもっとも有名な作品のひとつである『富嶽三十六景』のうち「神奈川沖浪裏」をイメージした大波と富士山のイラストが描かれている。いわば「外国人が頭の中で想像するような日本のイメージ」を見事に表現したといえるだろう。

「ご覧になった方に『やっちまったな、アドウェイズ(笑)』と感じていただければ成功だと思っています」(本多氏)

また、エントランス奥の窓際に吊るされた提灯には、白地に黒で大きく、丸にひらがなの「あ」という文字が記されている。

 

エントランス奥の窓際に吊るされた提灯。丸に「あ」の文字は強烈なインパクトがある

エントランス奥の窓際に吊るされた提灯。丸に「あ」の文字は強烈なインパクトがある

天井から壁、廊下に至るまで凝りに凝った デザインが施されている

天井から壁、廊下に至るまで凝りに凝った
デザインが施されている

「『あ』は、もちろん『アドウェイズ』の『あ』であり、また『あッと驚く』の『あ』でもあります。この提灯は京都の老舗の提灯職人さんの手になるもので、表面に貼られている紙や骨組みの竹まで、本物の材料にこだわって作られています」(本多氏)
本誌の取材が入ったのは移転直後ということで、エントランスの周囲には取引先などから贈られた移転祝いの植栽が数多く飾られていた。
「移転祝いの贈り物といえば定番は胡蝶蘭ですが、代表・岡村はお祝いを贈っていただけそうなお客様に対して、事前に『もし頂戴できるのであれば、長く飾らせていただきたいので、胡蝶蘭よりも観葉植物を』とお願いしていたそうです」(本多氏)

 

充実のミーティングスペースと、細部までこだわったデザイン

同社オフィスのある38階は、40階建ての同ビルの中でオフィスフロアの最上階のひとつ下の階に当たる。エントランスから続く青梅街道に面した同ビルの南側は会議室ゾーンとなっており、大小の会議室が全部で24室用意されている。

「以前のオフィスには会議室が10室しかなく、執務エリア内に打ち合わせのできるようなスペースもなかったので、いつも取り合いになっていました。せっかくお客様に足を運んでいただいたのに、社内にお迎えできるスペースがなく、外のカフェなどに入ってお話しをするようなこともありました。そこで、新しいオフィスでは会議室を2倍以上に増やし、社内のちょっとした打ち合わせなどは執務エリア内のミーティングスペースでできるようにしています」(本多氏)

本多氏によれば、もともと同社は来客が多い方だという話だが、本誌取材の同日・同時間帯にも複数組の来客が訪れており、まさに千客万来の様相であった。

社員飲み放題のコーヒーメーカーは本誌取材の前日に搬入されたばかり

社員飲み放題のコーヒーメーカーは本誌取材の前日に搬入されたばかり

休憩スペースの西側。壁際に自動販売機や喫煙所が設置されている

休憩スペースの西側。壁際に自動販売機や喫煙所が設置されている

数ある会議室の中でも、ビルの南東角に位置する部屋は、窓からの眺望といい室内の造作といい、もっとも特徴的なものになっている。黒いカラー畳にカラフルなクッションを並べ、木目を活かしたテーブルの足元は掘り炬燵になっている。さらに、入口から右手の壁には、実寸大の花札を数百枚も並べた絵柄の額縁が飾られ、格子状の天井板には一枚一枚に花などの意匠が施されている。入口側の壁には赤地に白い描線で鳳凰の図が描かれており、こうなってくるとアジアンテイストというよりやや国籍不明といった感もある。

「和室の会議室は以前のオフィスにもありましたが、今回はさらにグレードアップしています。エントランスのデザインと同じで、やりすぎに思えるくらいに細部にこだわりつつ、さまざまなアイデアを詰め込みました。こういうところにも“普通ではおもしろくない”という精神が表れているのではないかと思います」(本多氏)

掘り炬燵の部屋の隣には、シャンデリアに黒い革張りのソファを設えたエグゼクティブ向けの応接室もある。また、窓際に面した会議室はいずれも足元までガラス窓になっており、地上38階の高さからの眺望が楽しめるようになっている。

「この高さと眺望も新本社の売りのひとつです。以前のオフィスは4階にあったので、場所的にはすぐ近くでも、窓から見える風景はまったく違っています」(本多氏)

 

「義理と人情」をコンセプトにさまざまなアイデアを導入

会議室ゾーンの先には、営業部門の執務エリアがある。フロアの東西にチームごとにデスクを配列し、中央の通路にはミーティングテーブルを配置して、社内の打ち合わせにはおもにこちらを利用している。デスクからは袖机をなくし、個人の私物は各自に与えられたロッカーに収納するようになっている。障害物を取り除くことで隣席との距離を縮め、コミュニケーションを取りやすくするのが狙いだ。

その先にある休憩スペースは、ソファのほかに長テーブルやボックス席を多数配置し、飲食や休憩だけでなく打ち合わせにも利用できるようになっている。

「休憩スペースには喫煙所を2ヶ所用意していますが、最新の分煙システムを導入し、ドアがなくても外部に煙や臭いが漏れないようになっています。これにより、喫煙者と非喫煙者がお互いに気を使わずにコミュニケーションできる環境を整えました」(本多氏)

喫煙所の使用時には、入口のタッチパネルで喫煙本数を自己申告するルールを設け、会社全体で1ヶ月間に吸ってもいい本数の上限を2万4000本までと定めている。約150人いる喫煙者が吸える本数は1日当たり約5本となり、これを超えると翌月まで誰も煙草を吸うことができなくなる。このルールを導入することで、喫煙者にストレスを感じさせることなく健康管理できるように配慮されているという。

 

休憩スペース東側。取材当日はTVでサッカーW杯の中継が流れていた

休憩スペース東側。取材当日はTVでサッカーW杯の中継が流れていた

喫煙所前に設置されたモニタ。同社の喫煙ルールに基づいて運用される

喫煙所前に設置されたモニタ。同社の喫煙ルールに基づいて運用される

休憩スペースを挟んで開発部門の執務エリアに続く。こちらは作業に集中しやすいように高めのパーティションで区画されているが、フロア自体の天井が高いために圧迫感はなく、風通しの良い環境が維持されている。その奥が管理部門の執務エリアで、業務の性質上壁で仕切られてはいるが、この壁は透明なガラス張りで風通しの良さは保たれている。

今回の移転に当たり、同社が策定した新本社オフィスのコンセプトは「義理と人情」であった。本多氏は次のように語る。

「当社は『金儲けより人儲け』を経営理念としており、人が99%、サーバーが1%というウエイトで成り立っている会社です。
2014年4月からは、愛社精神ならぬ“愛社員精神”の一環として、社員を支えてくれている大切な家族の誕生日をお祝いして自宅まで直接プレゼントをお届けするという取り組みを始めました。また、出資会社のひとつである株式会社アドウェイズ・ピクチャーズと協力し、半期に一度、全社の中から模範となる社員や今後の活躍が期待できる社員を選出し、この人を主役とした短編映画『HERO OF ADWAYS』を上映するなど、モチベーションアップに努めています。そして、社員やその家族ばかりでなく、アドウェイズと関わるすべての人とのつながりと、思いやりの心を大切にする、という気持ちを言葉で表現したのが『義理と人情』というコンセプトなのです」(本多氏)

 

開発部門の執務エリア。作業に集中できるようにパーティションで区画している

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オフィスへの入退室管理は静脈認証によって行われている

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PICK UP!

会議室
社員からの人気も高い掘り炬燵の会議室。足元まである窓からの眺望は絶景だ
会議室
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休憩スペース
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休憩スペース
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休憩スペース
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執務エリア
開発部門の執務エリア。作業に集中できるようにパーティションで区画している
執務エリア
営業部門の執務エリア。東西にデスクを並べ、中央の通路にミーティングスペースを配置
執務エリア
開発部門の奥には、ガラス壁を挟んで管理部門の執務エリア
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