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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ ネットワンシステムズ株式会社 ]
ビジネス推進グループ 第2商品技術部 藤田 雄介氏

7月

25

2014

ネットワンシステムズ株式会社 様
社員が実践する“ICTを利活用した、人を中心とする新しいワークスタイル”

2013年5月、本社を東京駅前の新築ビル「JPタワー」へ移転したネットワンシステムズ株式会社。同社の新本社オフィスに賭ける意気込みは相当なもので、本社移転と同時に、社員が実践する“ICTを利活用した、人を中心とする新しいワークスタイル”を来客に公開する約1,200m²の見学エリアをオープンした。

「Innovative Office 見学エリア」と命名されたこのスペースには約100名の社員が常駐し、具体的なICTの活用方法や効果を分かりやすく紹介しているという。同社第2製品技術部・クラウドソフトウェアチームのリーダーを務める藤田雄介氏に話を伺った。

 

顧客との距離を近くする移転ではなく「投資」と認識

東京駅丸の内口地下通路に直結する「JPタワー」。同ビルは2012年5月末、東京中央郵便局の旧局舎跡の再開発プロジェクトにより地上38階建ての超高層ビルに生まれ変わった。同ビルの8階から上はオフィスフロアになっており、24階から26階の半分の2.5フロアにネットワンシステムズ株式会社が入居したのはGW明けの5月7日のことであった。

「天王洲アイルの旧本社から、営業部門と経営企画部門を中心に『お客様と対話をする部門』が新本社オフィスに移りました。また、旧本社の隣にオフィスを借りて、事務部門や技術部門はそちらへ移っています。営業部門をこちらへ移した理由は、お客様のところへどんどん出て行ってほしいし、また逆にお客様をどんどん連れてきてほしいと考えているからです」(藤田氏)

天王洲アイルと東京駅では、交通アクセスの利便性はもちろん、企業のブランディングの点でも段違いである。同社は今回の移転について「たんなる移転ではなく、『投資』と考えています」と語っている。投資というからには、かかったコストや手間を上回るメリットが期待されているということだ。それは具体的に何なのだろうか?

「私たちネットワンが新たにお客様にお届けする価値、それは、『Innovative Office』で培ったICT利活用のノウハウや、メリットとデメリット、課題も併せてお届けすることです。

『Innovative Office』には最先端のICT機器やツールが導入されていますが、それらをまず私たち自身が使いこなし、効果も問題点も実感してみる。そして、それを来訪されたお客様にも体感していただくことで、より価値ある情報をご提供できるのです」(藤田氏)

いわば、「Innovative Office」自体が実験場なのだという。そして、機器やツールの製品性能実験だけに留まらず、それらをもっとも効率よく運用するためのしくみや制度についての実験も積み重ねられている。

 

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未来を体感できる「Innovative Office」とは

24階の受付スペースで来館受付を済ませると、見学者は白亜の回廊を案内される。ここはまだ「Innovative Office」の外である。回廊の窓際には接客用の大小の応接室が並び、見学を終えた来客とそのまま商談に入れるようになっている。

「Innovative Office」につながる入口の手前、エントランスのちょうど裏側にはガラス張りのサーバルームのような小部屋がある。サーバはイメージモデルではなく実機だが、中身は来客に仮想体験してもらうためのデモンストレーション用のデータセンターであり、じっさいの同社のデータセンターは遠隔地に置かれているという。

「当社のデータセンターは東京地区と大阪地区の2ヶ所に存在し、大規模災害時にもデータが保護されるようになっています。当社では従来、全国に点在していた物理サーバを仮想化して統合・集約してTCO(総所有コスト)の削減を図ってきましたが、クラウドコンピューティングにより2013年2月から全社共通の仮想基盤へとリニューアルしました。これにより、事業継続性が高まるのに加えて、ICTリソースを最適な形で柔軟に割り当てることが可能となっています」(藤田氏)

左右に向かい合った応接室とデモ用サーバルームの突き当たりの壁が「Innovative Office」の入口である。壁と色を合わせた白い自動ドアは、さながら未来へと続く扉を思わせる。

ドアが開くと、そこに広がる光景は、最先端のICT技術を採り入れた未来的なワークスペースである。入ってすぐ右手には、大画面モニターを前に何ごとかを発表している一人を囲む、色とりどりのチェアに座った人々のグループ。ミーティングか、勉強会であろうか。各自のチェアは袖テーブル付きで、めいめいノートパソコンを置いたりメモを取ったりしながら活発な意見の交換が行われていた。「Traveler Lobby」と呼ばれるスペースである。

左手にはカフェを思わせるカウンターが設置され、木目調の丸テーブルがいくつか置かれている。カウンターの裏手はファミリーレストラン風の背もたれの高いシートになっていて、それぞれの好きな場所で仕事ができるようになっているらしい。ここは「Open Cafe」と名づけられていた。 「『Innovative Office』内では、作業内容や各自の好みに合わせて、自分がいちばんやりやすい環境で仕事ができるようになっています。その日の気分で場所を変える人もありますし、お気に入りの場所を見つけていつもそこで仕事をしている人もいます」(藤田氏)

これだけなら、要は大がかりなフリーアドレスということでしかない。だが、驚くべきは社員たちの環境への適応ぶりである。

 

「Innovative Office」入口手前に設置されたデモ用データセンター

「Innovative Office」入口手前に設置されたデモ用データセンター

入口からすぐ右にある「Traveler Lobby」と命名されたスペース

入口からすぐ右にある「Traveler Lobby」と命名されたスペース

「Rental Office」。テレビ会議を通じて24時間海外ともつながる

「Rental Office」。テレビ会議を通じて24時間海外ともつながる

「Open Cafe」正面。カウンターやテーブルなど好きな場所を選べる

「Open Cafe」正面。カウンターやテーブルなど好きな場所を選べる

 

移転からわずか3週間で新オフィスを十全に活用

前述したように、同社のオフィス移転が完了したのはGW明けの5月7日。本誌取材はそれから3週間後の5月28日に行われている。わずか3週間で、社員たちは驚くほど新しいオフィス環境に適応しており、その機能を十全に活用しているように見えた。「当社では2010年ごろより段階を踏んでワークスタイルの変革に取り組んできました。まず、旧本社で実験的にフリーアドレスを導入。それから各種ICTツールを整備しつつ、テレワーク導入の準備を進めてきました。

テレワークを本格的にスタートしたのは2011年4月からなのですが、この有効性を実感できたのが皮肉にも3.11震災でした」(藤田氏)震災当時、交通網の混乱や余震への警戒、原発事故や計画停電などへの対応から、一時的にせよ在宅勤務などの対応策を取った企業は少なくない。同社はこの経験も活かし、テレワークを促進したという。チャットやビデオ会議など、それまで部分的にしか利用されていなかったツールの活用を促進し、新たなワークスタイルの確立に向けて準備を整えてきたのである。

「当社はICTをお客様にご提案する会社ですが、社員の中にはこうした新しいツールやワークスタイルになじみのない人、苦手意識を持ってしまっている人もいました。こうした層に対しては事前にさまざまなレクチャーを行い、新しい環境に速やかに順応できるように準備してきたというわけです」(藤田氏) だからこそ、移転からわずか3週間で、誰もがまるで何年も前から使ってきたかのように新しい環境になじみ、機能を使いこなすことができるのだろう。

新本社オフィスには同社社員の6割強を占める約900名が移転してきている。これだけの人数がスムーズに移動できたのも、ICTやオフィスファシリティのスペシャリスト約30名から成るプロジェクトメンバーの尽力によるものだ。彼らはGW中も出勤して新本社のネットワーク環境を整備するなど、移転後のための準備を進めてきたという。

こうして完成した「Innovative Office」の続きを見て行こう。「Open Cafe」の並びには、大画面モニタで海外とテレビ会議を行っているガラス張りの部屋。ここは「Rental Office」と呼ばれる4部屋続きのスペースで、手前のガラス張りの部屋を除いて、奥の3部屋は機密性が保たれている。その通路側には「SOHO」と名づけられた小部屋が隣接し、在宅勤務のワーカーの自宅をイメージしたつくりになっている。

そして、通路を挟んだ窓際は「Camp Fire」と命名されたグループワーク用のスペースになっている。ここの什器は自然木の風合いを活かしたテーブルとベンチで、グリーンのカーペットと相まって森の中の小径をイメージさせる。

「ここに限らず、『Innovative Office』内のデザインはアウトドアのイメージで統一しています。カーペットは緑と、土をイメージした茶色。何ヶ所か設置されている案内用のポールも野外に立っているものをイメージしています。これは都心の真ん中にある東京の丸の内で、瑞々しい発想が浮かぶ助けになればという考えによるものです」(藤田氏)
さらに、植栽も豊富に置かれ、家具類も全体に木製品が目立つ。

 

「SOHO」ブース内は同社の社員や在宅スタッフの自宅をイメージ

「SOHO」ブース内は同社の社員や在宅スタッフの自宅をイメージ

左のガラス壁は「Camp Fire」、右のカーテンが「SOHO」ブース

左のガラス壁は「Camp Fire」、右のカーテンが「SOHO」ブース

 

 

仕事のそれぞれの局面に最適な場所を用意する

「Camp Fire」の先は「Park」と呼ばれる多目的スペースが窓際にL字型に伸びている。通路の向かい側には、「Moment Avenue」と名づけられたフリーディスカッションスペースが設置されている。交通量の多い曲がり角に設置されているわけは、周囲の席や通行人がここで話し合われている内容に興味を示し、何か自分の意見を述べたいと思ったとき、いつでも自由に飛び入りで参加できるようにとの工夫である。

「Moment Avenue」の奥のスペースは「Shop」と呼ばれる。といっても、自動販売機が設置されているだけだが、リフレッシュスペースも兼ねたワークエリアであり、多くの人の会話が飛びかい、仕事のアイデアに結びつくヒントを得られることも多いという。「Shop」と「Park」の先は「Nomad」と命名され、個人やグループで集中作業できるスペースになっている。ここでは「パオ」という正六角形のパーティションで仕切られたテーブル席もあり、グループメンバー同士が徹底的に議論する際にはこの「パオ」の中に入るという。

「Nomad」の奥の突き当たりの「Phone Booth」では、電話だけでなくweb会議などで資料共有しながら顧客や外出先のメンバーとの打ち合わせが行われる。

そして、「Innovative Office」のいちばん奥にあるのが「Theater」と呼ばれる大空間だ。ここには大型スクリーンを設置し、最大約80名を相手にデモンストレーションや研究発表会などを開催することができる。「Theater」は土足禁止となっており、靴を脱いでめいめい好きな姿勢でリラックスしながら発表者に意見を述べたり質問したりすることができる。ちなみに、天王洲アイルのオフィスにもここと同様の施設があり、両者を接続すると最大約150名相手に話をすることができるという。

 

「Moment Avenue」では通りすがりに背後から意見を述べる人も

「Moment Avenue」では通りすがりに背後から意見を述べる人も

正六角形に仕切られた「Nomad」の中では活発な意見が交換される

正六角形に仕切られた「Nomad」の中では活発な意見が交換される

 

「『Shop』や『Camp Fire』でアイデアのヒントが生まれ、『Moment Avenue』や『Park』で意見を交換し、『Nomad』でアイデアをまとめ、『Theater』でアウトプットする、というふうに、仕事のそれぞれの局面にふさわしい場所を用意しています。私たちはメーカーではありませんので、国内外のさまざまなメーカーさんの製品をパーツパーツで組み合わせて最適な使用環境を模索しています。

その成功も失敗も、すべて私たち自身の体験に根づいたものとしてお客様に提供できるのが当社の強みです」(藤田氏)移転を機に一新した同社のロゴマークは、漢字の「匠」がモチーフだ。ICTの匠として、東京の中心・丸の内の新本社を舞台に、同社の新しい挑戦が始まる。

 

「Theater」の座席部分。靴を脱いでひな壇の好きな場所に座れる

「Theater」の座席部分。靴を脱いでひな壇の好きな場所に座れる

ソファや立ち会議など、さまざまな姿勢で話し合いができる「Shop」

ソファや立ち会議など、さまざまな姿勢で話し合いができる「Shop」

PICK UP!

セミナースペース
入口からすぐ右にある「Traveler Lobby」と命名されたスペース
カフェ
「Open Cafe」正面。カウンターやテーブルなど好きな場所を選べる
作業スペース
「SOHO」ブース内は同社の社員や在宅スタッフの自宅をイメージ
フリースペース
「Theater」の座席部分。靴を脱いでひな壇の好きな場所に座れる
ミーティングスペース
ソファや立ち会議など、さまざまな姿勢で話し合いができる「Shop」
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