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interview 経営とオフィス

各企業がどのような経営戦略や人材戦略のもとに、オフィス移転を決めたのか?
代表者のインタビューでお届けします。

[ ソフトバンク・テクノロジー株式会社 ]
取締役常務執行役員CFO 管理本部長 長田 隆明氏

9月

18

2014

ソフトバンク・テクノロジー株式会社 様
「One! SBT」の実現を目指すソフトバンク・テクノロジーの新本社。

ソフトバンク・グループにおける技術部門の中核として「イービジネスサービス事業」「ソリューション事業」「リサーチ&ビジネスディベロップメント」を主要事業とするソフトバンク・テクノロジー株式会社。「情報革命で人々を幸せに~技術の力で未来を創る~」を企業理念に掲げる同社は、2014年2月17日、東新宿駅直結の「新宿イーストサイドスクエア」17階へ本社を移転した。1フロア1,800坪という広大な面積を最大限に活かした新本社オフィスは、何を目指し、如何にしてつくられたか。
同社取締役 常務執行役員CFO 管理本部長・長田隆明氏に話を伺った。

 

コミュニケーションロス解消のため1フロア化できる物件を選定

東京メトロ副都心線と都営大江戸線の地下鉄2路線が通過する東新宿駅に直結した地上20階建てのオフィスビル「新宿イーストサイドスクエア」。
2012年4月に竣工した同ビルは、地盤堅固な武蔵野台地に立地し、制振構造の採用で高い耐震性能を誇っている。また、電力供給は2系統用意され、万一その両方が停止した場合にも、非常用発電機により事業継続に必要なだけの電力供給を確保できる。こうした事業継続性の担保は、同ビルの重要な選定ポイントのひとつとなっている。

「事業継続性に加え、1フロア1,800坪という面積を確保できる物件はほかにありませんでした。交通アクセスの面でも、旧本社オフィスと同等以上の利便性があり、従業員の通勤にもほとんど影響がないことがわかっていました」(長田氏)

旧本社は飯田橋と江戸川橋の中間にあり、同社は3フロアに分割して入居していた。さらに組織は複数のユニットに分かれていたことから、コミュニケーションの弊害に悩まされていたと長田氏は語る。ひとつの組織でありながらフロアを別にし、さらに同じフロア内でもユニットごとに物理的・心理的な壁がいくつも形成されていたため、従業員同士に不可避的な温度差が生じ、「大げさにいえば、違う会社のような感じ」(長田氏)であったという。

「また、会社の成長に伴い、2011年度からの3年間で従業員数は約2倍に増えており、キャパシティの面でも物理的な限界に達していました」(長田氏)

同社は積極的なM&Aを展開しており、本誌取材の数週間前にもミラクル・リナックス社を子会社化するなど、組織自体が今なお急成長を続けている。こうした背景にあって、本社移転は、会社の将来を左右する重要なミッションとなった。

「移転プロジェクトの発足から入居完了までにかかった期間は約1年5ヶ月。当社の規模からすれば充分な時間と思われるかもしれませんが、最終的には『間に合うかどうか』という、かなりギリギリのスケジュールでした」(長田氏)

移転に当たり、同社では各部門からプロジェクトメンバーを選出し、長田氏をはじめとする経営陣がプロジェクトを統括、さらに同社代表取締役社長CEO・阿多親市氏が自ら陣頭指揮をふるっている。各プロジェクトメンバーは自身の所属する部門内の意見を熱心にヒアリングし、また全従業員に対して入念なアンケート調査を行うなど、文字通り全社一丸となって取り組んでいる。

「準備期間のうち、最初の半年余りは物件の選定に費やしました。『新宿イーストサイドスクエア』に移転先が決定したときには、すでに移転まで残り1年を切っていました」(長田氏)

 

先進的なアイデアが生まれる最新の設備と柔軟な組織体制

img_00417階でエレベーターを降り、同社の占有スペースに一歩足を踏み入れると、エントランスは巨大な円形のホールになっている。正面左寄りの壁に同社のロゴが掲げられ、向かって右手の壁には大小7つのデジタルサイネージが並んでいる。サイネージは時刻表示や気象情報のほか、同社の発信する情報や経済ニュースなどが刻々と変化しつつ表示される。中央に設置された半球状のテーブルが無人受付となっており、来訪者はiPadを操作してIPフォンで担当者を呼び出すシステムだ。

「iPadの画面に当社が発行するQRコードをかざせば、自動的に相手を呼び出すことができます。QRコードをお客様のスマートフォンのPassbookに登録すると、ビルに近づいただけで自動的にポップアップします。本受付システムは当社子会社のM-SOLUTIONSが開発しました」(長田氏)

エントランスに続くフロアの約4分の1はゲストエリアで、人数や目的に応じて多数の会議室が用意されている。ここは基本的に社外の接客対応に利用されており、社内の打ち合わせは執務エリア内に設けられた各ミーティングスペースで行われている。
すべての会議室にはモニタが設置され、執務エリア内のミーティングスペースにも、移転後のアンケート調査によりモニタが追加で設置された。

執務エリア内にある役員用会議室。重厚感ある家具が配置されている

執務エリア内にある役員用会議室。重厚感ある家具が配置されている

エントランスに導入された無人受付システム『Smart at Reception』

エントランスに導入された無人受付システム『Smart at Reception』

 

ゲストエリアから執務エリアへの出入りは社員証によるカード認証で管理されており、同社が主催するオフィスツアーなどで来客を招き入れる際には事前に名簿の提出を義務づけるなど、セキュリティは高度に設定されている。顧客情報の漏洩などが世間を騒がせている昨今だが、同社では情報の取り扱いにも神経を配っており、特にシステム監視やデータ解析などのデリケートな作業を行う場所にはさらに二段階のセキュリティが設定され、入退室は指紋認証や共連れ防止、顔認証などで厳重に管理されている。

「当社の業務上、お客様の大切な情報をお預かりすることも多いので、機密保持のためセキュリティは特に念入りに設定しております」(長田氏)

 

ゲストエリアと執務エリアの境目に設置されたプレゼンテーションルームは、5面の大型ディスプレイが設置され、本来の用途のほか、社内の役員会議などで使用されることもあるという。また、会議室の予約システムは人感センサーと連動し、会議が中止になった場合のキャンセル忘れなどによるムダを防いでいるという。

「お客様のニーズに応え続けていくためには、旧態依然としたオフィスでは先進的なアイデアは生まれない、という考え方が根底にあります。そこで、什器や設備に関しては予算の許す限り最新のものを導入し、また社内の組織体制については各ユニット間のコラボレーションを最大化する仕組みを構築しています」(長田氏)

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24時間システム監視などを行う高セキュリティルーム

24時間システム監視などを行う高セキュリティルーム

 

相反する命題を両立させる「静」と「動」と「調和」
執務エリア内にある役員用会議室。重厚感ある家具が配置されている

執務エリア内にある役員用会議室。重厚感ある家具が配置されている

新本社オフィスのキーコンセプトとして、長田氏は「静」「動」「調和」の3つを上げた。「オフィスづくりの大前提として『従業員がここで働けることに喜びを感じるオフィスにしたい』というトップの想いがあります。そこで、ヒアリング調査で吸い上げたさまざまな意見をテーマごとに整理し、可能な限り多くの要望を実現することを目指しました。その中には『個人の作業に集中できる環境にしたい』『いろいろな部門の人間とコミュニケーションがとりたい』のように相反する命題も含まれており、これらを両立させるためにいろいろ頭を悩ませることになりました」(長田氏)

前者は「静」、後者は「動」ということになる。この2つを別々に実現するのであれば難しくないが、同社はそれを水と油のように「分離」したものではなく、2つが「調和」した環境を目指したのである。

まず、執務エリア内には一切の壁をつくらないことにした。新本社オフィスには現在、子会社の人間も含めて約800名が在籍しているが、本社と子会社の間にも壁や仕切りなどは設けられていない。後述するグリーンベルト上には壁で仕切られたミーティングルームも複数用意されているが、ここの壁もガラス張りで視界を遮らないよう配慮されている。また、各自の席は上級職も含めてすべて横並びのロングデスクを採用するなど、什器類も一新され、規格が統一された。

「旧オフィスで使用していた什器類は規格もバラバラで、それ以前のオフィスから持ち込んだものも多く、先進性に欠けていました。そこで今回の移転を機にすべて新しいものに入れ替え、メンバーの意見を反映した使い勝手の良い種類を選定しています」(長田氏)

デスクの配列はオーソドックスな島型対向式レイアウトだが、ビルの側面窓に対して縦方向に並べることでPCモニタへの外光の映り込みを防ぎ、正面からの視線が気にならないように向かい合ったデスクの間には高さ45cmのパーティションを設けている。

「パーティションは取り付けるかどうかで議論になりましたが、『付ける派』も『付けない派』も、『全社で統一すべき』だという意見は一致していました。最終的には多数決で『付ける』と決まり、高さについてはじっさいに比較してみて、視線を気にせずに集中でき、かつコミュニケーションの邪魔にならない45cmに決定しました」(長田氏)

ゲストエリアの奥に位置する会議室01。 廊下側の壁は曇りガラス張りになっている

ゲストエリアの奥に位置する会議室01。
廊下側の壁は曇りガラス張りになっている

全80席のセミナールーム。 40席ずつ2部屋に分割することもできる

全80席のセミナールーム。
40席ずつ2部屋に分割することもできる

1,000席が配置された執務エリア。 スペース効率は約2割改善となった

1,000席が配置された執務エリア。
スペース効率は約2割改善となった

同。デスクチェアのカラーは 赤、緑、黄色などに色分けされている

同。デスクチェアのカラーは
赤、緑、黄色などに色分けされている

 

「One! SBT」の合言葉の下に、グリーンベルトがオフィスを囲む
喫煙スペースは吸煙装置により臭いや煙が外に漏れない

喫煙スペースは吸煙装置により臭いや煙が外に漏れない

移転を目前に控えた2014年の年頭挨拶で、阿多社長は「One! SBT」という標語を打ち出した。SBTは1つ――この思想は、完成したオフィスに如実に体現されている。「新本社オフィスの在籍メンバーはエンジニアが中心です。この人たちは職務上、長時間座って作業をすることが多いので、デスクチェア選びには10種類以上の候補を並べ、じっさいに座り比べてみて、投票で決定しました。
また、情報システムのトラブル対応などでは徹夜作業になることもありますから、休憩や仮眠などが取れる場所をつくり、オンとオフの切り替えがしやすい環境を心がけました」(長田氏)

また、「バンガロー」「レイク」「フォレスト」と命名された各コーナーには、それぞれのネーミングの由来をイメージした造形物が配置されている。「フォレスト」には森の木やテントをイメージしたオブジェがあり、テントの内側は1対1で話ができるテーブルと椅子が置かれている。これは窓越しにマンション棟が見える面に位置しているため、目隠しの意味もあるのだという。

「さまざまな用途で活用されているグリーンベルトですが、居住性を高めるペリメーターゾーンとしての意味もあります。グリーンベルトで囲むことで、窓とデスクの間に一定の距離が空くことになり、外気温や外光の影響を受けにくくなります。窓際席の人間が『暑い』とエアコンの設定温度を変更したり、『眩しい』とブラインドを閉めたりすれば、窓から遠い席の人間にとっては『寒い、暗い』となり、居住環境が悪化します。

窓際席を廃してグリーンベルトを設けることで、空調効率や照明効率も高まるのです」(長田氏)

また、デスクの規格が統一されたことで組織改編の際にも移動が容易になるなど、多くのメリットがある。成長企業である同社では月に1回以上の頻度で組織改編が行われており、その都度座席を移動するだけでも従来は少なからぬ負担になっていたという。
「このビルは敷地内の約40%が緑地化されており、豊かな自然環境もセールスポイントのひとつ。グリーンベルトの緑には、屋外の緑が室内にまで浸食しているというイメージもあります。
観葉植物も多く配置し、デジタルな作業に従事する従業員にとって癒しの空間となっています」(長田氏)

グリーンベルトにはさまざまな種類の座席が用意され、利用率も高い人気のエリアである

グリーンベルトにはさまざまな種類の座席が用意され、利用率も高い人気のエリアである

湖畔をイメージした「レイク」。 曲線を描いた水色のベンチを設置

湖畔をイメージした「レイク」。
曲線を描いた水色のベンチを設置

森をイメージした「フォレスト」。 目隠しのテントが点在している

森をイメージした「フォレスト」。
目隠しのテントが点在している

上着はクローゼットに。従業員にオフィスをキレイに使う意識を根づかせている

上着はクローゼットに。従業員にオフィスをキレイに使う意識を根づかせている

 

PICK UP!

プレゼンテーションルーム
5面ディスプレイを備えたプレゼンテーションルーム。役員会議にも利用される
セキュリティルーム
24時間システム監視などを行う高セキュリティルーム
役員用会議室
執務エリア内にある役員用会議室。重厚感ある家具が配置されている
会議室
ゲストエリアの奥に位置する会議室01。
廊下側の壁は曇りガラス張りになっている
セミナールーム
全80席のセミナールーム。
40席ずつ2部屋に分割することもできる
執務エリア
1,000席が配置された執務エリア。
スペース効率は約2割改善となった
喫煙スペース
喫煙スペースは吸煙装置により臭いや煙が外に漏れない
フリースペース
グリーンベルトにはさまざまな種類の座席が用意され、利用率も高い人気のエリアである
フリースペース
湖畔をイメージした「レイク」。
曲線を描いた水色のベンチを設置
フリースペース
森をイメージした「フォレスト」。
目隠しのテントが点在している
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