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1月

27

2016

竣工予定の新築ビルから オフィスの未来を読み解く
下半期がターニングポイント新築と二次空室で供給量が増加

 

オフィスビルのマーケットは堅調に推移しており、4年後の東京オリンピックに向けて景気はさらに右肩上がりになっていくだろう、という予測がある。同様の雰囲気はマーケット全体に広がっており、事実、今年竣工する新築大規模ビルの空室も残り少ない。

 

果たして、予測の通りこの堅調な市況は今後も続くのだろうか。

 

オフィスビルのマーケットとしては、2015年末の東京主要5区の空室率が4.14%で、2008年11月以来となる低い数値となっている。5%を目安に、需要と供給のパワーバランスが入れ替わるとされているマーケットにあって、4%台に突入した昨年8月以降は貸し手市場といえる状況が続いている。

 

この流れをどう読み解くのか。オフィスビルの仲介を手がける株式会社ビルディング企画・古川徹氏はこう語る。

 

「現在は移転ニーズが高まった状況が続いており、今年竣工予定で苦戦を覚悟していたビルもあったのですが、蓋を開けてみれば大半がすでに決定しています。その背景には、企業の統合やビルの建て替えがあり、たとえば経営統合した昭和シェル石油と出光興産はオフィスを集約するために今年竣工する新築ビルへの移転が決まっていると聞きます。企業や公共機関などに大きな動きが続いていることも、オフィスビルのニーズが高まっている要因と考えられます」

 

経営統合やM&Aなどによる企業の再編が進む影響で、オフィスビルの需要が伸びているというわけだ。他にも角川書店とドワンゴ、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスなどの経営統合が話題になった。今後も需要の高まりは続くということだろうか。

 

「たしかに今後もニーズは高まっていくかもしれません。しかし、今年の下半期から来年にかけて、新築ビルの竣工で供給量が増加することに加えて、移転による二次空室が出てくるため、供給過多になるのではないかという予測があるんです。『東京ガーデンテラス紀尾井町』に入るヤフー株式会社は来年早々には移転するそうですが、それは今いるオフィスに二次空室が発生するという意味でもあります。恐らく今年の下半期以降、各エリアで二次空室の増加が加速しますから、供給過多に移るターニングポイントが訪れる可能性があります」

 

東京オリンピックに向けて建築が進む新築ビル、そこに二次空室が加わることで、供給量が増加する。この傾向が強まり、需要を上回るのではないかと推測されているのだという。

 

供給量の増加が予測されている一方、実は最も需要の多いボリュームゾーンとなる価格帯の空室が非常に手薄になっている。ハイグレードな高価格帯物件と、比較的価格の安い物件は多く供給されているものの、坪単価20,000円から25,000円のボリュームゾーンにある空室はかなり限られている状況だ。

 

「今年の後半からさらに供給量が増えていくことが予測されますから、供給過多が進むなかで高価格帯物件の賃料がどう推移するのかがポイントと考えています。現状維持なのか、多少下がる程度なのか、それともボリュームゾーンまで賃料が抑えられるのか、それが年末から来年にかけて判明するとみています。また、その先の2018-2019年は大きなターニングポイントになる気配があり、主要5区だけでなく豊洲や池袋も含めて例年以上の新築ビルが竣工する予定です。2012年に供給量が急増して空室率が上昇し、賃料が下落した時期がありましたが、当時に迫る状況になるのではないかと予測する声が多くあります」

 

供給量の増加によって、売り手市場から買い手市場へ移り変わる。今年はその転換期になるかもしれない。

 

つまり、移転を決断するには理想のタイミングと言えるだろう。

 

スーパーBCP機能に個別空調新築ビルは最新機能が充実

 

今年は大規模ビルが15棟する予定で、なかには基準階面積が1,000坪を超えるメガフロアを持つビルが3棟ある。

 

ガーデンテラス紀尾井町

赤坂で建設が進む『東京ガーデン テラス紀尾井町』。国の中枢機関が集結する永田町、文化や歴史 に彩られてきた赤坂見附、さらに自然あふれる緑に包まれた弁慶 濠を繋ぎあわせる立地にある

赤坂プリンスホテルの跡地に建設されている『東京ガーデンテラス紀尾井町』は地上36階、地下2階建てで5月に竣工予定。このビルは紀尾井町通に面する「都市的賑わいの軸」、清水谷公園から弁慶壕につながる「緑の軸」、旧李王家東京邸から江戸城外堀跡赤坂御門に接する「歴史と文化の軸」と、3つのテーマが交わっており、赤坂エリアの新たなランドマークとなる。

 

 

「すでにヤフー株式会社の入居が決定しており、空室は残り4フロアながら4,000坪というスケールがあります。『都市』『緑』『歴史と文化』が交わるこのビルは、完成によって赤坂の街が変わるとさえ言われているほどです」と古川氏は解説する。

 

大手町グランキューブ

今年4月に竣工予定の『大手町フィナンシャルシティ グランキューブ』。地上31階、地下4階建てで、非常時の停電の際でも10日以上、発電できる強力なBCP機能を備えている

 

 

 

 

次に、『星野や東京』との同時オープンで話題の『大手町フィナンシャルシティ・グランキューブ』は、4月竣工予定で地上31階、地下4階建てで基準階面積が1,284坪のメガフロア。「このビルの特徴は強力なBCP機能を備えていることです。非常時に停電した場合でも、ガスの供給があれば10日以上、電力の供給が可能とされています。1プレートで1,000坪以上という大きな面積があるため、集約効果も高く、統合や設備投資の一環でこのビルを選ぶ企業が多いようです」

 

六本木1丁目駅に建設中の『六本木3丁目東地区プロジェクト』は地上40階、地下5階建て(オフィス棟)で、9月の竣工を目指している。洗練されたガラスデザインのこのビルは、最新のBCP機能に加え、1フロア1,000坪の規模にして個別空調であることが特徴だ。「IT企業の多い六本木という土地柄、空調や電力は個別の設定にしてあるそうです。このビルもBCP機能に優れており、免震+制震構造になっています」

 

話題性では、基準階面積が695坪の『JR新宿ミライナタワー』がある。今年3月の竣工予定で、「LINE株式会社」が集約移転することで話題になった。このビルの特徴は、「新宿駅」というJRのターミナル駅に直結していることだ。2012年に竣工した渋谷ヒカリエ以来となるターミナル駅直結のこのビルは、地上32階、地下2階建てで新宿の新たなランドマークとして注目されている。

ミライナタワー

JR新宿駅に建設された『JR新宿ミライナタワー』。手前の商業棟は屋上に屋 外広場も設けられ、商業施設だけでなく、保育所やクリニックも整備されてい る。LINE株式会社の入居が決定して話題を集めており、新たな新宿のランド マークとして注目されている

 

さまざまな最新機能や特色を備えた新築ビルの竣工によって、今後のマーケットはどう変動していくのだろうか。「今後も空室率の改善と、既存ビルの賃料値上げは続いていくと予測されます。そこに年末から来年にかけて発生する大きな二次空室がどんな影響を与えるか。そこが今年のポイントでしょう。また、移転を検討している企業の多くは、供給量が増える2018-2019年に竣工するビルに目を向けています。今後の注目は、虎ノ門エリア。東京オリンピックに向けて再開発が進んでおり、新駅の計画もあるため、今後ますます注目が高まるエリアです」

 

東京オリンピックまでに東京はどんな街に生まれ変わるのか。期待は膨らむ。

 

 

 

グラフ

東京主要5区オフィス市況推移(※過去14ヵ月間)

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