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7月

09

2015

豊島区本庁舎の移転で活気づく 副都心・池袋再開発計画

東京と埼玉をつなぐターミナル駅として発展してきた池袋エリア。近年ではJR湘南新宿ラインや東京メトロ副都心線と東急東横線との相互運転によって、神奈川からのアクセスも良好になり、さらなる賑わいをみせている。今年5月、豊島区本庁舎が移転したことを引き金に、本庁舎跡地の再開発をはじめ、池袋エリア全体で街づくり計画が活気づいている。副都心として新たな時代へ動き出した池袋の動向を追った。

 

 

エコミューゼタウン渋谷区に続く空室率2%台エリア
副都心・池袋のビジネス事情

 

今年5月度の市況調査において、池袋エリアのオフィスビルは空室率2%台に突入した。首都圏では渋谷区に続いて2番目に空きがない状態で、移転のニーズがあっても物件が不足している状態となっている。住居エリアとしても豊島区全体の人口密度は日本一の過密都市になっており、今や池袋はビジネス街、繁華街、住宅街の顔を併せ持つ巨大都市になっているのである。

 

江戸時代までの池袋は、田畑が広がるだけで何もない土地だった。中山道に向かうための休憩所があるくらいで、同じ豊島区では巣鴨地蔵尊がある巣鴨の賑わいとは比較にならないほどだった。そんな池袋が発展するきっかけとなったのは、ターミナル駅として建設された池袋駅だった。当初は目白で建設予定だったが、地元からの反対によってお隣の池袋にお鉢が回ってきたのである。鉄道は1905年に開通すると、1909年からは山手線として運行するようになった。これをきっかけに急速に街づくりが進み、池袋駅も今や新宿駅に次いで日本で2番目に乗降客数が多い駅となった。

 

1958年には渋谷、新宿とともに池袋が副都心として指定される。副都心とは、東京の都市計画で産業や交通、居住などの都市機能を都心から分散させる目的で指定されたエリアで、2008年に渋谷、新宿、池袋の副都心3エリアを結ぶ東京メトロ副都心線が開業したことで、副都心という名称が広く知られることになった。副都心線は開業から5年後の2013年に東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線との相互運転を開始。2001年より運行が始まっていた湘南新宿ラインと副都心線によって、池袋は埼玉県だけでなく、神奈川県からも流入しやすいエリアとなったのである。

 

現在の池袋の街づくりは、1978年に開業したサンシャインが牽引してきた。巣鴨拘置所の跡地に日本一のノッポビルとして完成したこのビルは、旧地名である日出町にあやかってサンシャインと名づけられ、池袋のシンボルとなった。オフィスや店舗、水族館などが5つのビルで構成されるこの複合施設には、池袋駅から多くの人が足を運んだ。駅からサンシャインに向かう道路には次々と商業施設が誕生し、大きな賑わいを見せるようになった。

 

商業やビジネスエリアとしてみると、池袋を本店とする西武百貨店、東武百貨店が駅前にあり、サンシャイン開業と同時期に出店したビックカメラも池袋に本店を構える。目と鼻の先にある三越百貨店跡にヤマダ電機がLABIを出店し、池袋家電戦争と話題を集めたことも記憶に新しい。さらに、もともとは西武百貨店のPB(プライベートブランド)としてスタートした無印良品を扱う良品計画の本社も池袋にあり、同じく西武グループが出資した西友の事業として始まったファミリーマートも、サンシャインに本社を置いている。

 

このようにビジネスの拠点として名だたる企業が存在している一方で、オフィスビルの物件数が少ないのが現状で、居住エリアとしての人口密度の高さと相まって、不動産マーケットとしては常に枯渇感があった。

 

2004年には、状況を打開するカンフル剤として期待された出来事もあった。それが新東京タワー(現・東京スカイツリー)の池袋への誘致活動だった。豊島区、地元企業、信用金庫などを中心に新東京タワー事業化準備委員会が発足。サンシャインの隣にある造幣局東京支局の敷地を建設予定地として、誘致に名乗りを上げたのである。仮に池袋に決定していれば、サンシャイン60と並ぶ新たなシンボルが誕生することになり、池袋は日本を代表する超高層タワースポットとして注目を集めていたかもしれない。

 

結果的に、誘致は実現しなかったが、そこから池袋の街並みを大きく変化させる再開発計画が動き出す。その第一歩となるのが、今年5月に行なわれた豊島区役所の新庁舎移転である。

 

 

池袋再開発の号砲を告げる新庁舎一体超高層マンション

今年5月7日、豊島区本庁舎は東池袋1丁目から南池袋2丁目に移転し、業務を開始した。『としまエコミューゼタウン』と名づけられたこの建物は、地上49階建てで「自然と建物の共存」をコンセプトとして外壁には緑化パネル、太陽光パネル、ソーラ-ガラスなど5種類のパネルが施された。特徴的な外観以上に特筆すべきは、新庁舎が日本初の区本庁舎一体超高層マンションであることだ。1階から10階までが区本庁舎、11階から49階が住宅ゾーンとなっており、住宅ゾーンは『Brillia Tower東京』として一般販売。3,400万~21,000万円の高価格帯物件ながら、わずか7週間で完売する人気ぶりだった。豊島区は建設費にこの分譲収入を充てることで、一般会計からの財政負担をなくした。自治体本庁舎として日本初の試みは、全国的な注目を集め、多くの自治体が視察に訪れたという。

 

『としまエコミューゼタウン』は東京メトロ有楽町線「東池袋駅」直結で、先端技術を用いた区本庁舎にふさわしい強固な構造になっており、非常時にも区庁舎内の豊島区災害対策センターが機能する。さらに電力が停止した場合でも、非常用発電機が作動するため、日常生活を妨げない設備を備えている。

 

新本庁舎の周辺では、「環状第5の1号線」という明治通りにつながる道路が整備されている。現状では池袋駅前を交通量の多い明治通りが通っているが、この新たな道路によって駅前の車通りを大幅に軽減する意図があるという。2019年の完成を目指すこの道路が、池袋駅前の街づくりに大きな影響を与えることは間違いないだろう。

 

今回の豊島区本庁舎の移転を引き金に、池袋で新たな再開発が始まる。

 

本庁舎と豊島公会堂の跡地では、「誰もが輝く劇場都市」をテーマとする複合開発が計画旧本庁舎されている。本庁舎と公会堂の敷地を活用して、地上30階の高さ146mの高層ビルを建設予定。高規格の大規模オフィスが整備されるだけでなく、池袋の新たな文化とにぎわいを創出する、多様なアートカルチャーを発信する7つの劇場を設ける予定だ。

 

 

スポルト池袋近隣では、今年3月に閉館した「スポルト池袋」跡地で、「東池袋一丁目新シネマコンプレックスプロジェクト」(仮称)が計画されており、2017年完成を目指す。これは首都圏最大級のシネマコンプレックスで、4階から15階部分に計12スクリーン、2,600席を設置し、12階から15階にはビル5階分の高さに相当する18m、幅26mという国内最大級の巨大スクリーンを導入する予定だ。

 

 

 

池袋は古くから文化の街でもあった。1930年代に多くの画家や彫刻家、詩人が池袋駅西口から山手通りのあたりに次々と移り住んだ。若き芸術家が集まったこのエリアにはアトリエつきの借家が軒を連ね、フランスの芸術の町に喩えて池袋モンパルナスと呼ばれた。また、新宿、下北沢、銀座に次いで劇場の多い街でもあったことから、池袋は文化の街という側面も持っているのである。多くの映画館が計画されるのは、その影響と言える。

 

西武鉄道池袋ビルさて、池袋駅周辺では、西武鉄道池袋ビルの建替工事が進行中。西武池袋駅に隣接する一帯に、西武池袋線をまたぐ形で地上18階建てのオフィスビルが完成する予定だ。低層階には商業施設が入り、上層階がオフィスフロアとなる。総貸室面積では池袋トップクラスで、オフィスフロアの基準階貸室面積は約2,100㎡( 約640坪)となる。2019年春の開業を目指している。

 

南池袋のジュンク堂書店近くでは、藤久ビル東5号館の新築工事が進んでいる。地上14階、地下1階建ての免震構造で、賃貸オフィス12フロア、店舗3フロアで構成されるという。延床面積は14,136.93㎡で、2017年6月に完成予定。 池袋エリアではないものの、高田馬場駅から徒歩5分のエリアでは「新宿スカイフォレスト」が2016年3月の竣工予定で建設が進んでいる。地上37階、地下2階、延床面積が142,314.68㎡の大規模複合開発プロジェクトだ。

 

池袋エリアにおいて、新東京タワー誘致の候補地となっていた造幣局東京支局は、さいたま新都心に移転することが発表されており、この3.2haという広大な土地を活用する街づくりの計画が整備されている。また、池袋駅西口では、「池袋駅西口地区まちづくり協議会」によって未来の池袋西口まちづくり計画が話し合われている動きもある。

 

区役所の移転から動き出した池袋は、今後新たなオフィスエリアとしての選択肢となることは間違いない。

 

池袋MAP

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