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9月

18

2012

首都圏 虎ノ門・六本木地区再開発
ディベロッパーが目指す”真の国際都心”形成”

img_001-1大規模再開発の代名詞的存在である東京・港区の虎ノ門・六本木地区。国内最大級の再開発事業と謳われた2004年の「六本木ヒルズ」を筆頭に、2005年の「赤坂インターシティ」、2006年の「虎ノ門タワーズ」、2007年の「東京ミッドタウン」など大規模再開発が相次ぎ、現在も複数のプロジェクトが同時進行中だ。

2012年8月、森ビル(株)による「アークヒルズ 仙石山森タワー」が竣工した。同ビルの再開発事業のスタートは、同社と地区住民との間で街づくりに関する勉強会が開催された1989年まで遡る。市街地再開発に当たって地区住民との折衝を辛抱強く重ねていく同社と、この地に「孫子の代に渡る将来に向け、安全・安心で住みよい街をつくりたい」と強く願う地区住民とが一体となって街づくりに取り組んできた。

 

 

img_002その後、バブル崩壊やリーマンショック、あるいは東日本大震災というような、巨大な経済状況の変動や社会環境の激変もあったが、同社は着実に再開発計画の実現に向けた調査・検討を行いつつ関係権利者の合意形成を進めていった。2008年に「市街地再開発組合」の設立認可、2009年10月に工事着工し、2012年8 月に竣工する。最初の勉強会から数えて、じつに24年の歳月を経ての完成となった。

 

だが、同ビルの竣工も、同地区再開発事業の中の通過点に過ぎない。今後もさらなる変貌を遂げる虎ノ門・六本木の「過去」「現在」「未来」をリポートする。

 

アジアヘッドクォーター特区として再生する六本木周辺地区。

消防車も通れない路地から日本を代表する国際都市へ

六本木という地名は、文字通り6本の木があったことに由来するというが、その木がどこに生えていたのかについては、江戸時代に「麻布竜土六本木町」「飯倉六本木町」と呼ばれていた当時からすでに不明であったと記録に残っている。近隣に残る「麻布狸穴町」などの地名からもわかるように、この辺りはかつて、それこそタヌキが出没するような草深い田舎であったという。

六本木という土地に「流行の最先端をゆくオシャレな繁華街」というイメージが定着したのは1980年代頃とされているが、その当時でさえ、大通りを一本外れれば、消防車も通れないような細い路地が入り組んだ木造家屋の密集地帯がえんえんと広がっていた。現在の華やかな六本木からはとうてい想像もつかないが、ほんの10数年前まで六本木はそうした状況にあり、防災上きわめて大きな問題を抱えていたのである。

この六本木に初めて大規模再開発という名のメスを入れたのは、地域密着型のビル開発などで実績を積み重ねてきた森ビル(株)であった。同社は1986年に「アークヒルズ」を竣工させたが、これは民間による日本初の大規模再開発事業であり、「六本木ヒルズ」「愛宕グリーンヒルズ」「表参道ヒルズ」など同社がその後引き続き展開していく「ヒルズプロジェクト」の第一歩となった。先日竣工した「アークヒルズ 仙石山森タワー」はそうした同社の原点というべきアークヒルズの名称を冠することで、その志を継承するものといえるだろう。

 

 

img_003アークヒルズにはじまるヒルズプロジェクトのコンセプトは「職住近接」「都市と自然の共生」「文化発信」の3つ。これは仙石山森タワーでも同様であるという。現在でこそ、さまざまな地域やプロジェクトにおいて目にすることの多い開発コンセプトだが、いずれも1986年当時はきわめて斬新な発想であった。何といっても昭和末期、バブル前夜である。株価や地価の高騰など、世間は好景気に浮かれていたが、自然環境や住環境、職場環境などの問題が取り沙汰されるようになるのはこれよりもだいぶ後の話になる。ちなみに、アーク=ARKとは「A=赤坂」「R=六本木」「K=knot(つなぎ目)」に由来するという。

アークヒルズは開業当初から外資系企業がオフィスに集積し、また他に先駆けて外国人向け賃貸住宅を提供してきたことなどから、東京を――すなわち日本を代表する国際金融センターとなった。仙石山森タワーは、四半世紀におよぶアークヒルズの歴史と育んできた資産を継承しつつ、当該エリアのさらなる発展を牽引する存在として誕生した。

だが、かつてアークヒルズがヒルズプロジェクトの第一歩であったように、仙石山森タワーの竣工は第一歩に過ぎないというのが同社の認識である。今後、引き続き進められていく当該エリアおよびその周辺エリアの再開発事業により、同社は「真の国際都心形成」を目指していく、と抱負を述べている。

相次ぐ再開発事業で国際都心形成をめざすimg_004

虎ノ門・赤坂・六本木地区においては、引き続きさまざまな再開発事業が進行中である。

まず、森ビル(株)が手がけるものとして「21・25 森ビル建替計画(仮称/アークヒルズサウスタワー)」(2013年竣工予定)と「環状二号線Ⅲ街区計画」(2014年竣工予定)。

 

前者は六本木一丁目駅に直結した地上20階建てのオフィス複合ビルとなり、後者は地上52階建ての超高層複合ビルの地下を道路が貫通する交通インフラと一体となった大規模複合再開発事業である。これらのプロジェクトに続いて計画されているのが、アークヒルズ 仙石山森タワーの建つ虎ノ門・六本木地区のすぐ南側に当たる「虎ノ門・麻布台地区」約4.8haの市街地再開発。すでに同社が事務局となって再開発準備組合が発足している。

 

他の事業者のプロジェクトとしては、まず、森トラスト(株)による「虎ノ門パストラルホテル跡地再開発計画」。これは2011年1月時点で現ビルの解体工事は完了し、地上13階建てのオフィス棟と住宅棟から成るツインタワーを建設予定となっているが、現在までのところ詳細は明らかにされていない。そのすぐ北側では大成建設グループによる「気象庁虎ノ門庁舎(仮称)・港区立教育センター整備等事業」(2013年竣工予定)が進行中だ。

 

 

 

img_005続いて、UR都市機構による「虎ノ門二丁目地区市街地再開発事業」。こちらは現在「虎の門病院」、「国立印刷局本局」と「虎の門工場」、「共同通信会館」が建っている地区で、同社は今年7月に「再開発事業に係る従前資産評価検討業務」についての一般競争入札の実施の手続きを行っている。2013年度に都市計画手続きを始めるスケジュールを想定しているという。

さらに、上記の(仮称)アークヒルズ サウスタワーの西側では、住友不動産(株)による「六本木三丁目東地区再開発事業」(2015年竣工予定)が控えている。こちらは「旧六本木プリンスホテル」「日本IBM本社ビル」を中心とした約2.7haの区域の再開発事業で、街区内に地上42階建て・高さ約250メートルの超高層オフィスビルや住宅棟、商業棟などを整備する計画。主要テナントとしては、(株)テレビ東京が同ビルへの移転を発表している。同プロジェクトは2012年9月の着工予定となっている。

現在進行中のこれらの再開発プロジェクトは、東京都が2011年12月に発表した「アジアヘッドクォーター特区」構想のひとつに指定されている六本木駅を中心とするエリアのさらなる活性化を促進する。前述の仙石山森タワー竣工を伝えるプレスリリースにおいて、森ビル(株)はこうコメントしている。「(同ビル竣工を)アークヒルズエリアの再出発(本格始動)と捉え、アジアのヘッドクォーターを目指す東京の真の国際都心形成を目指し、”アークヒルズ”が日本を代表する国際都心の代名詞となるように、『デベロップメント』と『エリアマネジメント』の両輪でエリアの発展を推進してまいります」。

東京、ひいては日本の未来に向けて、ディベロッパーたちは”真の国際都心”の形成をめざす。

 

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進化するオフィスビル防災

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2011年3月11日に発生した東日本大震災は、人々の防災意識を変えたといわれる。とりわけ、福島第一原発の事故に端を発する電力不足は、企業におけるビジネスや都内の人々の生活に深刻な影響をもたらした。電力不足への懸念や企業のBCPへの関心が高まるなか、「アークヒルズ 仙石山森タワー」では都市機能の維持と入居企業の事業継続性を高めるため、停電時に都市ガス(中圧ガス)による自家発電で電力を供給し、入居企業の通常業務を継続可能とする非常用発電システムが導入されている。

従来の一般的なオフィスビルにおける非常用発電設備の電力供給は、避難用照明や換気、消火設備などの保安負荷のみを対象としてきた。災害発生時の人命の保護を最優先とし、BCPに関しては入居企業が個別に対策を講じればよいという発想である。これに対し、同ビルで採用された非常用発電システムでは、オフィス執務室内のOA コンセントや照明、空調など専用部への電力供給も含め、オフィス全体の想定最大使用電力の約85%が供給可能となる。同システムは災害に強い中圧導管による都市ガスを利用しており、さらに重油貯蔵タンクの増強により同量の電力供給を継続、二重のバックアップで入居企業の安定的かつ継続的な事業活動を強力にサポートする。

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