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3月

28

2014

主要5区の受け皿として複数のプロジェクトが進む品川区再開発地区

「品川」という地名は品川区を流れる目黒川の古称で、「さまざまな品(物)の行き交う川」に由来する。江戸時代から物流の中心地として栄え、現在も東海道新幹線の停車駅が置かれるなど日本経済の大動脈であり続けている。港区の一角に位置する品川駅、再開発著しい大崎駅、そして羽田空港と直通モノレールで結ばれた天王洲アイル駅など、熱い注目が集まる品川区オフィス街の現状をリポートする。

 

「副都心」大崎で進行中の大規模再開発の背景と推移
大崎駅西口のペデストリアンデッキから望む。正面に見えるのは竣工直後の「大崎ウィズタワー」

大崎駅西口のペデストリアンデッキから望む。正面に見えるのは竣工直後の「大崎ウィズタワー」

東京23区の中で、特にオフィスビルが集積している千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区を、業界では「東京主要5区」と呼びならわしている。「主要3区」といったときにはここから新宿区と渋谷区を除き、「主要6区」という場合はここに品川区を追加するのが慣例である。

主要区にはそれぞれ、エリアの代名詞となるべき地域があり、多くの場合はターミナル駅の周辺が該当する。新宿区の新宿駅、渋谷区の渋谷駅などはストレートでわかりやすいだろう。千代田区と中央区は両者の境界にある東京駅、港区は六本木駅や新橋駅、虎ノ門駅などがそれに当たる。品川区を主要区に含めたとき、真っ先にイメージされるのは品川駅だが、行政区分上からいえば品川駅は港区内にあり、駅周辺のオフィス街は港区港南に集中している。品川区として見た場合、特にオフィスビルが集積し、多くの再開発案件が進行しているのは大崎駅周辺だろう。

小関橋から見た「パークシティ大崎」建築現場。中央が超高層業務棟(A1棟)

小関橋から見た「パークシティ大崎」建築現場。中央が超高層業務棟(A1棟)

大崎は、東京都が策定した7大副都心のひとつだ。もっとも、東京メトロ副都心線のネーミングをみてもわかるように、一般的な認知度においては「副都心」といえばやはり新宿・渋谷・池袋の3大副都心を指し、大崎をはじめとする残り4つの副都心はあまりピンとこないのかもしれない。大崎副都心の再開発は1980年代からスタートし、その後バブル崩壊などの紆余曲折を経て、2000年以降着々と進行しつつある。その先駆けとなったのは、バブル経済最盛期の1987年に開業した「大崎ニューシティ」。

「TOC大崎ビルディング」「日精ビルディング」「新大崎勧業ビルディング」などのオフィスビルと、ホテル、店舗棟で構成される大崎駅東口の再開発プロジェクトである。続いて、1999年には「ゲートシティ大崎」が開業する。準備組合の発足は1984年にさかのぼり、バブル崩壊などの影響で計画が長びいたが、スタートから15年がかりで完成している。ツインタワーの超高層オフィスビル「ゲートシティ大崎イーストタワー」「同・ウエストタワー」と、商業施設で構成される駅直結の玄関口だ。

 

大崎駅周辺で次々に竣工する超高層オフィスビル群
品川駅港南口で2010年に竣工した「品川フロントビル」

品川駅港南口で2010年に竣工した「品川フロントビル」

21世紀に入ると、大崎駅周辺の再開発は一気に加速する。まず、2001年に「オーバルコート大崎」( 東五反田二丁目第1地区)が竣工。これは業務棟である「オーバルコート大崎マークウエスト」と賃貸・分譲2棟の住居棟で構成されている。ここから数年間のブランクを経て、2007年には「アートヴィレッジ大崎」(大崎駅東口第3地区/業務棟「アートヴィレッジ大崎セントラルタワー」と賃貸住居棟で構成)「ThinkPark」( 明電舎地区)、2009年には「大崎センタービル」「大崎ウエストシティタワーズ」(大崎駅西口中地区/住居棟)「プラウドタワー東五反田」(住居棟)が竣工する。2010年に「東京サザンガーデン」(東五反田二丁目第2地区/業務棟「東五反田スクエア」と住居棟2棟)、2011年には「ソニーシティ大崎」(大崎駅西口C地区)と「大崎フォレストビルディング」(同・B地区)が竣工している。

品川区は職住近接型都市を指向し、これらの再開発計画も住居棟を計画内に含んでいるか、あるいはオフィス・住居複合型のビルとなっているものが多い。また、大崎駅西口地区の「大崎の森」や、目黒川を軸とした「風の道」確保など、ヒートアイランド現象の緩和・抑制に配慮した街づくりが進められている。

建築中の「品川シーズンテラス」。 竣工予定は2015年春

建築中の「品川シーズンテラス」。
竣工予定は2015年春

そして2014年1月末、「ソニーシティ大崎」に隣接する超高層オフィスビル「大崎ウィズタワー」をはじめとする複合開発「大崎ウィズシティ」(大崎駅西口南地区)が竣工を迎える。大崎駅周辺のさらなる発展を促す起爆剤となるだろう。

いっぽう、大崎駅東口側では現在、目黒川を挟んで「パークシティ大崎」(北品川五丁目第1地区)の工事が進行中だ。こちらは2015年に竣工を予定しており、超高層業務棟(A1棟)、高層業務棟(C1棟)をはじめとして住居棟2棟などから構成される大規模再開発となる。 大崎駅周辺ではさらに「西品川一丁目地区」の市街地再開発が計画されており、今後数年間は建築の槌音が絶えない活況が見込まれている。

 

主要5区の市況過熱を受けて注目集まる品川ビジネスエリア

大崎・五反田地区と東品川臨海部の天王洲地区、そして品川駅周辺を結んだ三角形の内側を、ここでは便宜的に「品川ビジネスエリア」と呼称する。

東京モノレール・東京臨海高速鉄道りんかい線の天王洲アイル駅を中心とする天王洲地区は、1992年に竣工した「シーフォートスクエア」を皮切りに、1990年代に次々とオフィスビルが建設された再開発地区だ。ウォーターフロントのオフィス街として高い人気を誇るが、近年は新築ビルの供給もなく、空室に悩むビルも少なくない。だが、新橋・汐留といった港区のビジネスエリアとも近接し、まとまった面積の確保が可能で、さらに賃料水準も主要5区に比べて割安感があるため、最近ではベンチャー企業を中心にひそかな注目が集まっている穴場的なエリアといえる。

品川駅周辺では、1998年に「品川インターシティ」、2004年に「品川グランドコモンズ」という二大超高層オフィスビル群が完成し、長らく双璧として君臨してきた。インターシティ、グランドコモンズともに、現在も高い人気を誇っているが、この一帯にあまりにも大量のオフィスビルが集約されていることで、その後の近隣における再開発計画では新たなオフィスビルの供給が見送られてきた面もある。2010年に品川駅港南口の東寄りに「品川フロントビル」が竣工したが、規模としてはややコンパクトなものとなった。

しかし、2015年春に竣工を予定している「品川シーズンテラス」は、国内最大級といわれる1フロア面積約1,500坪超を誇る大規模ビルとなる。ビルと一体となった3.5haの広大な緑地など、その名の通り日本の四季を感じさせる周辺環境は多くのテナントの注目を集めており、竣工後には品川駅周辺の人の流れを変える存在となることが期待されている。

主要5区のオフィス市況がますます過熱していく2014年以降、品川ビジネスエリアは幅広いテナント層に訴える魅力を持っている。

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