facebook twitter

このサイトをシェアする

9月

18

2014

新宿駅東口再開発

ギネスブックに認定された世界一のターミナルステーション・新宿駅。駅西口側は超高層ビルが集積する日本有数のビジネス街として知られるが、駅東口側は長らく商業・歓楽街としてのイメージから脱却できずにいた。しかし、西口での再開発が飽和に達した現在、再開発の焦点は東口に移行している。地下鉄交通網の充実とともに、新たな人の流れを創り出しつつある東口エリアの現状をリポートする。

 

新宿の都市開発史と、西口と東口の明暗
同・ビル全景。地上30階建ての上層階にはワシントンホテルが開業予定

同・ビル全景。地上30階建ての上層階にはワシントンホテルが開業予定

新宿という地名は「新しい宿場町」に由来する。五街道のひとつ、甲州街道の第1番目の宿場町として江戸時代中期に開かれた比較的歴史の浅い町であり、江戸府内には含まれず、その郊外に位置する小さな町に過ぎなかった。明治時代になると東京市内に編入され、鉄道駅も造られたものの、周辺にはまだ狐や狸の出る藪が広がり、賑わいを見せていたのは駅周辺と、宿場町時代から続く花娼街くらいのものだったという。こうした状況を一変させたのは、1923年(大正12)に発生した関東大震災であった。

それまで東京の中心であった銀座や浅草などの下町は表層地盤が脆弱であったため、震災で繁華街は壊滅的打撃を受け、人口も激減した。

2015年竣工予定の「新宿東宝ビル開発計画」工事現場。都内最大級のシネマコンプレックスとなる

2015年竣工予定の「新宿東宝ビル開発計画」工事現場。都内最大級のシネマコンプレックスとなる

しかし、新宿周辺は地盤堅固な武蔵野台地の東端に位置していたことで、ほとんど被害を受けなかった。このため、渋谷や池袋などのターミナル駅とともに、郊外の人口急増に伴い、駅周辺が新たな商業街として発展することにつながった。その後、太平洋戦争の東京大空襲では新宿も焼野原となったが、それでも下町に比べれば人的被害は少なく、戦後まもなく闇市で大いに賑わうようになった。

やがて、戦後の復興の中で東京の街が西へ広がるのと同時に、交通の要所であった新宿に商業施設を集積させる新宿副都心計画が策定され、駅にほど近い淀橋浄水場を移転させた広大な跡地に高層ビル群の建設が進められた。

そして、高度成長期を迎えると、新宿駅西口では大規模な都市開発が進み、1971年(昭和46)の「京王プラザホテル」の竣工を皮切りに、住友三角ビルの通称で知られる「新宿住友ビル」(1974年/225m)から「住友不動産新宿グランドタワー」(2011年/195.2m)まで、高さ200m級の超高層ビルが次々に建設され、日本最大のビジネス街へと変貌した。これに対して、駅舎を挟んだ東口側には「新宿三越」や「丸井」などの大規模商業施設などが開業する一方で、歌舞伎町に代表される歓楽街が形成され、かつての花娼街の流れを受け継ぎながら独自の発展を遂げていった。

 

 

新たな地下鉄路線の開通と大規模再開発ビルの竣工
新宿通り沿いで竣工間近の「(仮称)ヒューリック新宿ビル」

新宿通り沿いで竣工間近の「(仮称)ヒューリック新宿ビル」

1991年(平成3)に西口超高層ビル群の一角に東京都庁舎が移転開庁して以降、新宿の街の「クリーン化」を提唱する都政の下で、歌舞伎町を中心とする歓楽街には厳しい営業規制が課せられた。これにより、暴力団の資金源とされた風俗店や特殊飲食店などは次第に縮小・衰退していったが、そのイメージは根強く、また大規模オフィスビルの不足も相まってテナントの需要も伸び悩み、新宿駅東口はビジネス街として西口に遠く及ばない状況が続いていた。

20世紀末から21世紀初頭にかけて東京都では都市交通網の整備が進み、湾岸部の「ゆりかもめ」「りんかい線」とともに、都心部でも新たな地下鉄路線を建設、既存の地下鉄路線と相互乗り入れすることで東京の地下を縦横に走る地下交通網が完成した。

 

歌舞伎町1丁目で進行中の「(仮称)歌舞伎町ビル新館新築工事」

歌舞伎町1丁目で進行中の「(仮称)歌舞伎町ビル新館新築工事」

新宿駅東口では、既存の「都営新宿線」「営団(現・東京メトロ)丸ノ内線」に加え、「都営大江戸線」「東京メトロ副都心線」の2路線が開通し、東新宿駅などの新駅が開業。これにより、従来はJR新宿駅から徒歩10分以上かかった地域でも、交通の利便性が格段に向上したのである。

東新宿駅は2000年(平成12)に「都営大江戸線」の駅として開業し、2008年(平成20)には「東京メトロ副都心線」が開通。この2路線を擁することで都内各方面との連絡が至便となり、周辺では再開発が急ピッチで進められた。もともと大規模建築に適した堅牢な地盤であったため、駅開業直後からマンションが造成され、人口増加に伴い駅の利用者数も右肩上がりに増加していった。

そして2012年(平成24)4月、東新宿駅に直結した「新宿イーストサイドスクエア」が竣工する。これは1万人以上が就業可能な商業&ビジネス複合型のオフィスビルで、敷地の40%を緑化するなど環境にも配慮し、周辺地域と一体化した回遊性の高いランドスケープを形成している。都内最大級を誇る1フロア1,800坪の床面積に加え、前年の東日本大震災による防災意識の高まりもあってテナントの人気を集め、2014年8月現在満室稼動となっている。

 

 

 

新宿のオフィス市況回復と今後予定される再開発計画

本誌当月号では「新宿イーストサイドスクエア」に入居する2社のテナント(ソフトバンク・テクノロジー株式会社/株式会社じげん)を取材しているが、いずれも異口同音に「武蔵野台地の堅牢な地盤」と「交通アクセスの利便性」を魅力として挙げている。これは同ビルに限定した話ではなく、西口までも含めた新宿という土地全体にかかる魅力といえるだろう。事実、ビルディング企画の調査による2014年7月現在の新宿区のオフィスビル平均空室率は5.23%となっており、前年同月比▲5.69%という大幅な改善となっている。同時期の東京主要5区全体の平均空室率が前年同月比▲2.27%の改善であることを踏まえれば、新宿区のオフィスビル市況がどれほどドラスティックに改善されているかは明らかだ。

この2棟の中型ビルの間を抜け、靖国通りを渡って歌舞伎町に入ると、まず目につくのが「(仮称)歌舞伎町ビル新館新築工事」だ。さらに奥へ進むと、新宿コマ劇場跡地で「新宿東宝ビル開発計画」が進行中だ。同ビルは低層階に飲食店などのテナント、中層階は全12スクリーン・総座席数約2500席の都内最大級のシネマコンプレックス、高層階にはワシントンホテルが入居する。歌舞伎町ではほかに、「(仮称)アパホテル〈新宿歌舞伎町タワー〉」が進行中であり、2014年末閉館予定の「新宿TOKYU MILANOビル」の跡地がどうなるかも注目される。

このほか、行政区分上は渋谷区千駄ヶ谷に位置する甲州街道沿いでは「JR新宿駅新南口ビル(仮称)」の工事が進行中であり、新宿駅周辺の人の流れは大きく変わろうとしている。

 

sturucture

 

""